福島県教育センター所報ふくしま No.86(S63/1988.6) -010/038page

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(1) 種子の発芽と水

 種子の発芽に必要な条件は,水,温度,空気であり,中でも水はどんな種子にも欠くことがでさないものである。

 種子の発芽と水の関係を調べる実験では,シャーレやイチゴパック等に脱脂綿を底に敷いて行われることが多いが,児童実験では種子が水中に沈み,呼吸の障害になったり,給水を忘れて水が蒸発したりして発芽しないことがある。

 そこで,この学習では演土用として透明水槽を用いた発芽セットを設置しておくとよい。

 1 実験の方法

 透明水槽にエンドウの種子を図4のように

 A:空気中.B:へそが水面に接する程度

 C:水中 にそれぞれ1個ずつ設置し,種子の変化を観察する。

 2 結果と考察

図4

 

2日日: Aは変化しないが,B・Cは吸水し,ふくらむ。

3日日: Bのみ幼根が5o程伸び始める。

5日目: Aは変化なし。Bはさらに幼根が伸びて10o程になる。Cは腐ってくる。


 子どもたちは,これまでの経験から水が必要であるとだれもが思っている。しかし,水の量と発芽の関係や種子の形態の変化及び成長についてはほとんどとらえてはいない。

 この実験では,吸水による種子の形態の変化や成長のようすについても理解させたり,また,水が十分にあるにもかかわらず発芽しないという状態から発芽における空気の必要性について気付かせることができる。

(2)種子の発芽と温度

 種子が吸水すると種子の中にあるいろいろな酵素が活動を始め,発芽のための変化が起こる。その変化の速さは,温度が高いほど促進される。

 このことを確かめるために.ここでも透明水槽を用いることが効果的である。

 1 実験方法

  十分に吸水させたエンドウの種子を寒天培地(0.3%)に植え付け,低温器(5℃),教室(18℃)・恒温器(25℃)にそれぞれ設置し,発芽と温度の関係を調べる。ここで寒天培地を使用するのは,幼芽ばかりでなく,幼根の成長の様子もあわせて観察するためである。

 2 結果と考察

図5 低温器(5℃)

 

 左図はそれぞれの6日後のようすである。

 エンドウの発芽最低温度は,0〜5℃だが,低温器の中のエンドウは6日後までにまったく発芽が見られなかった。


図6 教室(18℃)

 

 教室内に設置したエンドウは,幼根が5〜10o肌程伸びてきたが,まだ幼芽は見られない。

 恒温器の中のエンドウは,幼根が5〜20o程伸びているものも見られ,幼芽も成長しているのが観察できた。


図7 恒音器(25℃)

 

 この実験のように種子を寒天培地を使用すると,幼根の成長のようすもよく観察できる。また乾燥もある程度防ぐことができる。


 さらに透明水槽にバーミキュライトを用いてエンドウの種子を植え付けると,根毛のようすも観察することができる。

 尚,温度による発芽実験を行うにあたっては,コムギやアブラナ等のように低温であっても発芽するものもあるので,あらかじめ使用する種子の


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