福島県教育センター所報ふくしま No.86(S63/1988.6) -013/038page

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いる。

2 成績にこだわりがあり,特に「下がる」ことに強い不安を抱いている。

 

(2)パーソナリティーの内容(情意的側面)

1 中学生という年代は,パーソナリティーの形成途上にあり,まだSCTにはっきり現われるほど性格が個性化していない。しかしSCTの反応,面接の結果,筆跡,体格等を考慮して分類してみた。

S型(分裂性気質)…8名   H(ヒステリー)…3名
Z型(循環性気質)…1名   N(神経質)…3名
E型(粘着性気性)…3名

1 精神医学的性格類型では,次の特性に特徴が出ていた。

 
S型→孤独性,非社交性,空想性,敏感性,非行動性
H一一小児性,非暗示性,自己顕示欲
N→一過敏性,不安定性,悲観性,劣等感,作業不全

 (3)パーソナリティーの内容(指向的側面)

1 静的行動を好み,体を動かすなどの動的行動には消極的である。

2 依存的である半面,干渉されることを極度に嫌う傾向がある。

3 空想の世界を好み,関心は精神的なものになっている。

4 欲求が抑えられているためか,「大人になったら好きな事をやる。」「今できないことをやってやる。」等の反応が多い。逃避して自己を満足させているようにも思える。

 (4)パーソナリティーの内容(力動的側面)

1 活力レベルが低下し,心身の不調を訴える内容が多い。

2 自分に自信がなく,他の人の能力,素質等を強くせん望している。

3 「他の人の心が知りたい。」「私はいつも誤解される。」「私の気持ちはだれにもわからない。」「○○についあたりたくなる。」「自分をわかってもらえない。」といういらだち,強い欲求不満を抱えている。

 (5)決定要員(個体的要因)

1 運動能力,容ぼう等に強いコンプレックスをもち,現実の自我像にはマイナス面の反応が多い。

2 心身ともに疲れ,体力も落ちている。

3 肥満度の高い(+10%以上)生徒が多く,特に女子の場合は,周囲で考える以上にコンプレックスとなっている。

 (6)決定要因(家庭的要員)

1 総合的にマイナスのイメージでとらえている生徒が多い。

2 祖父母,父,母いずれかに対し,本人は,「すぐ怒る。」「細かいことにうるさい。」と反応している。

3 家庭に居る時,うるさいほど自己主張しているか,反対に家族から遊離した行動をとっている。

 (7)決定要領(社会的要領)

1 友人間,家族間の人間関係は希薄であり,受動的である。

2 対人関係の不安,ストレスが予想以上に大きい。「人間関係が難しい。」「人と話すのが上手でない。」「話すととても疲れる。」「自分から友達をつくれない。」「友達とうまく遊べない。」「ひとの話が聞けない。」等

5.事例

 (1) 対象 中学校1年女子A子

 (2) 問題の概要

 2学期の10月頃から登校をしぶり,断続的に欠席を繰り返していたが,両親がしった激励すると登校はしていた。しかし,両親への反抗的態度はますますエスカレートし,時には父親になぐられることもあった。2学期終了間際からついに連続欠席となる。

 (3) 本人,両親との面接でわかったこと。

1 2〜3歳頃の,親子のスキンシップが足りなかった。

2 小学校から成績は良い。特に父親の期待は大きく,生活全般に指示が多かった。


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