福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -006/038page
4.数学科を例にしたCAlコースウェアの作成
CAI(コースウェアの作成に当たっては,コンピュータの機能,設置台数等を考慮して,どの学習場面で.どのようにコンピュータを用いれば,最も効果的かを検討する。また,CAIの特質を理解し,使用目的を明確に押さえて活用することが大切である。例えば,実験方法の説明や諸注意などに使うのはよいが,実際に実験・実習や操作活動を行うことができるものについては使うべきではない。
CAIの利用は,学習速度や習熱度に差が大きくあらわれやすい教科での個別指導や主体的な学習態度を育成するために有効である。また,理解困難な内容でモデル化やシミュレーションを行った方が分かりやすいものについては,非常に効果的である。
次に,数学科を例にして実際にコースウェアを作成したので.その概略を述べる。
(1)コースウェア作成
次のような内容でコースウェアの作成を行う。
ο 教科・単元 数学1年 「正負の数」
ο 作成する教材の学習時間 6〜8時間
ο 作成の意図‥‥導入の段階で提示型として使う。・チュートリアル型によって「符号のついた数」「数の大小」「正負の数の加減」の学習を進める・ドリル型によって.問題の練習,コース別学習を行い学習内容の定着を図る。
(2)CAIの問題点とコースウェア作成の手順
CAIによる学習の効果を上げるために,表−2にあげた問題点を考慮しながら作成に当たる。
問題点 改善点・対策等 1.コンピュータの指示と,その応答入力だけの学習では,教師と児童・生徒間のコミュニケーションが少なくなりがちである。 ・人間性豊かな児童・生徒の育成を図る観点から教師の机間巡視による個別指導やシミュレーション画面を見て話し合う活動を取入れたり,LAN((LocalAreaNetwork);パソコンをスタンドアロン(独立型)ではなく互いに通信機器で接続しているもの)システムの活用を図るなど,ふれあいを大切にする場面を設けるような配慮が必要である。 2.画面の説明を読むだけのコースウェアを作成すると,学習の流れが単調になり,思考の自由度が小さくなりがちである。 ・改善策として提示型だけでなくチューリトアル型を織り混ぜ,じっくり考えさせたり,多様な考え方が引き出せるようにコースを組む。
・数種のコースを設け,選択してドリル練習ができるようにする。難易度を工夫して作成する。6.コンピュータは冷たさを感じさせる。 ・一時間を通してコンピュータを使うような授業を行わない。
・「よくがんばりました。」などと思いやりのあるKR情報を画面に表示する。7.目が疲れる,網膜の炎症などの健康問題やテクノストレスなどの精神衛生上の問題がある。 ・長時間ディスプレイを見ないようにコースウェアを作成する。
・画面にフィルターを取り付ける。
・コンピュータに少しずつ慣れさせる。作成の手順を表−3に示す。画面作成前に教材研究を十分に行い,学習者の予想される反応をできるだけ的確におさえておく。また,多様な考え方に対応できるようコースウェアを設計する。
<1> 教科,単元の決定 <7> BASIC言語等でコーディング,または教材作成支援システムによるフレームの作成・結合 <2> 生徒の実態把握 (フレーム型CAI・教材作成支援システム) <3> 教材分析 ・メニュー(MENU)画面の作成 <4> コースのアウトライン ・使い方の説明画面の作成 ・内容の配列順序 ・部品図の作成 ・共通画面の作成 ・授業形態の決定(一斉,個別,グループ) ・メインフレームの作成 ・指導法(説明,発問,討議,ドリル等) ・ドリル,コース別学習画面の作成 ・指導時間 ・条件分岐画面の作成 ・メデアの決定(黒坂,OHP,図表,コンピュータ,VTR等) ・ヒント,解答画面の作成 ・CAIの型の決定(提示型,チュートリアル型,シミュレーション型,ドリル型情報検索型) ・KR情報画面の作成 ・個人差に応じたコースの検討 ・画面の結合 <5> フーロチャ−トの作成 <8> 教材の流れの稚諾・デパッギング <6> 画面の改計(文字,絵図,アニメ) <9> コ−スウェアの評価,修正 表−3 コースウェア作成の手順 (3)コースウェアのアウトライン
今回作成するフレーム型CAIの基本形を,図−1に示す。フレームの単位は,図−2のように問題提示から評価記録までを1フレームと考え,それを結合して1つの教材を組立てる。
(4)個別学習に対応できるコースウェア
個々の児童・生徒に対応するため,CAIのよさを生かし,コース別学習ができるように,コー