福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -010/038page

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 型別の人数は,演繹型13名・帰納型60名,直感型21名・反省型52名,記号型27名・文字型46名である。Bコースは該当者がなかった。

 Eコースが計画通りはこばなかった原因として,このコースには他と違ってストーリー作りの課題を入れたためと考えられる。コースが自分に合っていたかの項目では,学習材として地形図を用いる記号型の評価が低い。充実感及び今後の継続については,演繹・反省型のC,Dコースの評価が低い。

・次表は学習に不適応を起こしていると思える18名についてのものである。

  イメー ジ事前 イメー ジ事後 充実感 継続 選択コース 学力
1 2.4 3.0 3 5 H 上位
2 1.6 3.0 4 3 F 中位
3 2.2 2.4 3 4 A 下位
4 2.4 3.4 3 4 G 下位
5 3.0 3.2 2 2 F 下位
6 3.2 4.0 2 2 F 下位
7 3.2 3.4 2 1 H 中位
8 3.2 4.0 1 2 C 上位
9 2.2 2.6 2 2 D 上位
10 2.2 3.0 2 2 C 下位
11 2.6 1.8 4 5 A 下位
12 2.2 2.2 1 2 H 中位
13 2.6 2.6 3 2 C 下位
14 2.8 2.0 2 1 G 上位
15 2.2 3.0 2 2 H 上位
16 2.0 1.6 3 2 G 上位
17 3.6 4.2 5 1 G 上位
18 4.0 3.4 2 1 G 上位

 1〜4の4名は,事前より事後にイメージが向上している。自己評価も高く,今回の学習によって興味関心が高まったと判断できる。

 5〜10の6名は,学習で充実感をあまり味わえなかったグループである。反省として,コース選択の誤り,学習パッケージの説明が理解しにくい,資料の不足等をあげている。事後のイメージが向上しているので,学習方法等を改善すれば対応できると考える。

 11〜13の3名は,事後のイメージが高まらないグループである。11はイメージと自己評価が逆のケースである。反省では自分のカで調べて理解できたのでとてもよかったと述べている。状況によって自己評価が変わるので今後も確認が必要な生徒である。12は予想通りの結果が出なくて残念であると述べている。充実感・継続以外の自己評価の項目は3以上であり,一生懸命学習に取り組んでいたと思える。学習の途中で状況を把握して個別指導が必要な生徒であったと考える。13は普通の授業をやった方が有意義だと述べており,学習方法が十分に理解できなかったのであろう。

 14〜18の5名に共通するのは,成績上位,将来は理科系に進学希望,このような問題解決的な授業を好まないタイプである。反省として,こういう学習の仕方は苦手である,こんな授業ばかりではノルマがこなせない,これがテストに役立つかいささか心もとない,もっと授業をやっていろんな知識を頭につめ込みたい等と述べている。これらの生徒は,学習を大学受験のための知識のつめ込みと考えている。大学受験に直結した意識を変えることはなかなか難しいが,ぜひとも,受け身の学習意識を主体的に参加する意識に変えなければならない。機会があるたび,このような学習の意味を問いかけていく必要を感じる。

5.おわりに

 生徒の学習適性に応じたコース別学習を試みた。この学習は,生徒個人に合わせた学習方法を取るため,生徒の活動を保証することになり,ある程度の成果をあげたと考えている。しかし,改善すべき点も多く今後も研究を継続したいと考えている。なお,紙数の関係で研究の一部を紹介したにとどまるので,詳細については下記個人研究報告書3(大文字ローマ数字)を参照願いたい。

参考文献

「学校における授業研究」全国教育研究所連盟 東洋館出版 昭和55年

「個性を生かす学ばせ方」辰野千寿 図書文化 1978年

「個別化・個性化教育の理論」加藤幸次 他 黎明書房 昭和60年

「個性化教育へのアプローチ」愛知県東浦町立緒川小学校 明治図書 1983年

「個性化教育のすすめ方」同  上 1987年

(個人研究報告書)

「高等学校社会科において生徒を主体的に参加させる授業実践1(大文字ローマ数字)」1986年

「同上 2(大文字ローマ数字)」1987年

「同上 3(大文字ローマ数字)」1988年

 深澤陽一 福島県教育センター


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