福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -017/038page

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研修者研究報告 −(学校経営A講座)

定時制夜間高校生の就学援助をめざした指導態勢の改善

(元安積第二高等学校,現安積高等学校教頭) 鈴 木 章 司

1.研究の趣旨

 科学技術の進歩と急激な経済社会の発展にともなって,就業構造が大きく変化し,定時制教育をめぐる環境にも大きな波が押し寄せている。安積二高への入学者の状況をみても年々減少の傾向を示し,入学の動機もさまざまとなっている。

 在校生の中には,高校教育を受けられなかった者,全日制高校からの転,編入生,更に中国残留孤児の子女など多様な生徒が在籍している。

 また,ここ数年間の入学生をみると無職の者が増え「働きながら学ぶ」定時制というこれまでの概念とは変わり,生徒指導上新たな問題が出てきている。例えば,中途退学者の状況をみると,それまで10%前後であったのが,59年,60年度には18%を越え,この中には家庭環境や職場の状況などのため,また怠学によって欠課時数が規定をオーバーし,進級困難となり退学への経過をたどった者など様々である。

 このような実態にかんがみ,定時制夜間高校として一人でも多くの生徒に所期の目的が達成できるよう就学援助をしなければならない。

 就学援助にはいろいろな方法が考えられるが,さしずめ内規の検討と弾力的な運用,更には,欠課時数の補充策,授業の工夫と改善を図って教師自身の指導態勢を充実しながら,就学援助に当たろうと考え本主題を設定した。

2.研究の見通し

 内規の検討と弾力的な運用,そして欠課時数の補充策,授業の工夫改善を行うことによって教師側の指導態勢の確立を図れば,生徒の実態に即した就学指導が可能になるであろう。

3.研究の方法と対象

(1) 研究の方法

 1 中途退学者の実態とその要因分析

 2 在校生の実態並びに意識調査と問題点の分析

 3 研究主題に関する文献研究

 4 前年度の各部,各学年,各教科の反省の中から主題に関連した問題点についての改善を図る。

(2) 研究の対象

 1 本校職員  17名

 2 本校生徒  163名

4.研究の概要と考察

(1) ここ5年間の中途退学者の実態

( )内は女子の内数,<>内はビジネス専修コース(50年発足)の内数 [表1]
年度 在籍数
(五・一現在)
学年 在籍に対する% 理由
1 2 3 4 病気 転勤 全日制受講 中国へ帰国 大検受験 結婚 進路変更 家庭の都合 一身上の都合
58 111
(51)
5 7
(4)
2
(2)
1 15
(6)
13.5%   7
(2)
        2
(1)
4
(2)
2
(1)
59 132
(52)
<11>
10
(5)
6
(5)
6
(3)
<3>
2
(1)
24
(14)
<3>
18.2% 1 11
(3)
<2>
      2
(2)
1
(1)
4
(4)
<1>
5
(4)
60 129
(41)
<18>
9
(3)
4
(2)
7
(1)
<4>
4

<4>
24
(6)
<8>
18.6%   13
(1)
<8>
2   1     1
(1)
7
(4)
61 145
(56)
<10>
9
(1)
7
(2)
3
(1)
<2>
1
<1>
20
(4)
<3>
13.8%   9
<3>
  2
(1)
  2
(1)
1   6
(1)
517
(200)
<39>
33
(9)
24
(13)
18
(7)
<9>
8
(1)
<5>
83
(30)
<14>
16.1% 1 40
(4)
<13>
2 2
(11)
1 4
(4)
4
(2)
9
(7)
<1>
20
(10)
%   39.8
28.9
21.7 9.6 100   1.2 48.2 2.4 2.4 1.2 4.8 4.8 10.8 24.1
62
(11.1)
現在
166
(69)
<16>
4
(3)
4
(1)
6
<6>
0 14
(4)
<6>
8.4% 1 5

<2>
  1

<1>
  1
(1)
2
(2)
3

<3>
2
(1)

 <考察>

 ア 次頁の[表2]に見られるように,昭和53年から61年度までの各年度ごとの中


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