福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -020/038page
オ [図11]の欠席の理由として「健康上」と「仕事」があるが,これらについては欠席の正当な理由として,規定の(1/5)をオーバーした場合,長期休業中や学年末にその補充をする体制が確立されてあるが,問題は,怠学等による欠席者についてである。これらの中には退学につながる者が多い現状から,内規の弾力的運用をはかり,指導を加えて,補充の具体的方策を検討しなければならない。
(2) 指導態勢の改善をめざして
1 前年度末の反省会議の中から次の2つにしぼった。
ア 中途退学を防止し,1人でも多く卒業させられるよう全職員でどう取り組めばよいか。
イ 能力差のある生徒への授業への工夫と個別指導のあり方。
2 学校全体での中退防止策の一つとして;
仕事や病気等での欠時数のオーバーした生徒の時数の補充については,5の(1)の3のオで述べたとおり補充の仕方は確立しているが,理由の明確でない欠席で規定(1/5)を越える場合の生徒について会議を重ねた上で次のようにした。
「欠課時数の多い生徒の救済措置」
ア 標準単位に基づく授業時数に対し,出席率80%未満の科目が生じた場合,または生じるおそれがある場合,1人3科目の範囲で,1単位1時間の補充を実施することができる。
イ 補充を受ける生徒は,校長あてに補充願いを提出する。ただし必要により保護者来校し,生徒同席の上で校長より指導をうける。
3 能力差のある生徒への授業の工夫と個別指導のあり方について;
社会科と英語科の研究授業を実施し,全職員で研修会を持ち,各教科で次のように実施の工夫をした。
・国語科:1〜3年生に漢字の時間を1時間設定し,段階に応じたプリント使用。
・社会科:資料も含め,精選した教材プリントを毎時配布しての授業展開。
・数学科:中学数学の確認テストとその反省(毎時15分)
・理 科:能力別に課題を課し,考査問題は3〜4種類準備。
・英語科:ABCの書き方から中学英語の基礎プリントを使用,1年生の2学期から教科書へ。
・上級学校を希望している生徒には,英,数,国の教員が問題集を選定し,ノートによる添削指導を実施。
4 教育相談の時間確保について;
水曜日の放課後(20時30分〜21時10分)を,更に1,2学期の定期考査後の全体指導会議を経て,1週間,5分短縮授業後20時50分〜21時30分をあてる。
5 事業主との連携について;
年度当初に,学校の年間計画一覧を持参し,指導方針を説明し協力を依頼する。
6.今後の課題
特に評価のあり方について,生徒の多様化の実態を踏まえて,学年制をとっている1,2年生についても,単位不確認となる生徒について,単位制の趣旨を生かしての弾力的な運用を図れるよう目下検討中である。