福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -021/038page
アイディア紹介
算 数 お も し ろ 教 室
=生活とのつながりをもとめて=
川内村立川内第三小学校教諭 堀川 理洋
−はじめに−
算数科においても,教師は,教材をよく研究し,日々の指導を行っている。しかし,「算数は苦手だ。算数は嫌いだ。」という児童の数は少なくない。
そこで,私は,児童が少しでも興味を持って取り組んでくれるような算数の指導を心がけている。ここに,その一端を紹介したい。
1.「危険な時は,子供は避難」(第1学年)
−11以上20未満の数から1位数をひく時−
(1)目 的
15−8等の計算の「15を10と5に分解し,10から8をひき,残った2に5を加える」という考え方の定着を図る。
(2)方 法
1 TVのドラマや教師の経験等から,危険が迫ると,親は一時,子供を避難させることをつかませる。
2 15の10を大人,5を子供と考え,8を危険とみなす。子供では危険に対応しきれないので,親は子を避難させ,その上で危険を取り去り,再び子を呼び戻す。‥‥‥以上の内容の話を,教師の日頃の言葉使いで話しながら計算を行う。
(3)発 展
親と子という考え方は,10と10未満の数を扱う時,いろいろと利用することができる。
2.「サラ金式ひき算」(第2学年)追指導用
−くり下がりのあるひき算−
(1)目 的
高学年になっても,「上の位から借りて来ることが出来ない。借りて来たことを忘れてしまう」の理由等で,減法を正確にこなせない児童もいることから,その対策として実施。
(2)方 法
1 社会問題のサラ金地獄と借用書の説明。
2 算数でも借用書は大切であると話し,借りた位の下に小さく1を記入し,借用書と名づける。
3 上記の1と,ひかれる数を合わせ一連の数とみなし,そこからひき算をする。
4 借金を返すということで,「借用書の1」をひき算する。
(3)指導の結果
足し算のくり上がりに使う小さな1をひき算に用いたに過ぎない。この方法を6年生に用いたら,ひき算の出来ない者はいなくなったが,低学年には複雑過ぎるようである。
3.「母さんは,大きな子供は手をひいて,小さい子供は背におぷう」(第4学年)
−仮分数から帯分数へ−
(1)目 的
仮分数から帯分数への変換の方法の定着と,忘れた時に思い出す手だてとして。
(2)方 法
1 仮分数一帯分数の変換法をしっかり指導。
・ 分子を分母で割り,整数部分にその商を置き,剰余を分子とする。
2 仮分数,帯分数の演算を行いながら,上記の「母さんは……」を暗唱させる。
4.「母さんは たすきをかけて 子をおぶう」
−帯分数から仮分数ヘ− (第4学年)
(1) 目的・方法 仮分数→帯分数に類似
(2) 指導の要点
整数×分母を「たすきをかけて」とし,分子が,分母の上に上がることを,「おぶう」と表現した。三年国語「ちいちゃんのかげお