福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -023/038page
研修者の感想
中学校保健体育講座に参加して
安達郡白沢村立白沢中学校教諭 安 斎 美 輝
私が,新採用でいわき市立湯本第三中学校に赴任し,保健体育を受け持つことになったのは4年前になりますが,同じ教科を専門にする先生が学校内にいなかったので,何もわからぬままに授業を進めていくという,不安だらけの毎日でした。ですから,新採用研修会は,私にとって最大の研修の場でしたし,2年目になると,教育センターでの研修にすぐにとびつきました。
以前より,教育センターでの研修講座はすぐに授業に生かせるもので,たいへん有意義である,ということを同じ職場の先生から聞いていたので,新採用から2年目(昭和60年度)に初めて保健体育講座に参加させていただき,希望して,またその2年後(昭和62年度)にも2度目の参加をさせていただきました。
参加してみると,同じ職場の先生に聞いていた通りで,すぐに学校に帰って授業に生かしたり,やってみたいという思いを胸にいだきながらの3日間でした。まだまだ恥しくて,お見せできる授業ではありませんが,教育センターから帰ってきてからの授業は,自分でも変わった,と思うほどです。体育や保健の授業の取り組み方,評価のしかた等についての知識や資料だけでなく,まだまだ工夫して,もっと生徒を生かせる授業ができそうだな,という意欲もあわせて持ち帰ってこれたと思います。
今回は,2泊3日にわたっての研修でしたが,その内容は,個を伸ばす陸上競技の指導,自己教育力の育成をめざす保健の授業について,筑波大学より八代勉助教授を迎えて自主性を育てる体育学習の評価について,目標分析と指導案の作成について,そして教育相談講座では,子どもの理解と対応のしかたについてお話をうかがいました。これらの講義や実技,演習では,具体的な指導法,事例等を示して教えていただきました。
特に,保健の授業については,60年度の講座の時にはじめて「授業書」の存在を知り,こういう授業の進め方もあったのかと,驚きに近い気持ちさえいだきました。学校に帰ってから,早速,提示していただいた資料を集め,自分なりに編集して授業をしてみたところ,生徒の興味・関心や考えようとする力が,目に見えて表に現われてきました。62年度の講座では,研修に参加した先生方でグループを作り,“エイズ”についての授業書の作成に取りかかり,1つの授業書をつくりあげました。
他に,陸上競技では,研修に参加した先生方が生徒の立場になって取り組み,能力の違う生徒が自ら練習の方法を選択し,活動する場を与えてやること。評価のしかたについては,形成的評価の重要性と評価の尺度の例など。子どもの理解と対応のしかたでは,自分自身について客観的にみつめる必要があること。そして,演習では,目標分析をしてグループどとに指導案を作成したりと,2年前参加させていただいた時とは,また違った多くのことを学ばせていただきました。改めて,自分の授業について考え,改善していく機会をつくっていただいたことに,深く感謝いたします。
教育センターの先生方には,とても親切にご指導いただき,たいへん心あたたまる思いで3日間を過ごすことができました。また,この講座に参加された先生方は,みなさんたいへん協力的で,楽しく研修できましたことを感謝いたします。 私が,今年赴任してきた白沢中学校の前任の先生と,この講座で出会い,宿舎では,同じ部屋となり,夜遅くまで話し合ったりしたのも,何かの縁かもしれません。そして,今後,この研修の成果をどう生かせるか…‥…・は,自分次第だと,心に留めておきたいと思います。