福島県教育センター所報ふくしま No.88(S63/1988.10) -028/038page

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るもの。(  )内は本校教育目標。

ア 自主・自律秩序と規律(考えぬく力を持つ生徒) ―人問としての自覚をもち,常に自主的に考え,自分で決断し,その結果につき責任を持ち,節度と調和のある生活をする。
イ 奉仕・社会連帯の意識(思いやる心をもつ生徒) ―公共の別をわきまえ,公共の福祉を重んじ,社会連帯の自覚をもって,理想の社会の実現に尽す。
ウ 勤労観・友人間の敬愛(鍛えぬく力をもつ生徒) ―勤労の尊さを知り,真の幸福を目指す充実した生き方を追求すること。

 次に,これらの不足が生じた原因を指導面から反省し,全職員で話し合った結果,次のようにまとめた。

-3- 不足している原因

 ア 生徒に多様な経験をさせることが少なかった。

 イ 学校行事を学校主導とし,生徒が極端に受動的になり,活動しなくなった。

 ウ 生徒の自己評価を指導にどう生かすかに着目しなかったこと。

 エ 学校教育目標と生徒の活動との関連をあまり考えなかったこと。

 オ 家庭や地域の行事の質的変容にともない親子の心の交流が減少したこと。

 カ 地域社会の人々の生きる姿から受ける尊敬と信頼をもとにして,郷土愛をはぐくむことに欠けていたこと。

 以上の反省に立ち,今後どのような活動を通して,他人に信頼される資質を高めるか,その具体策を次のように考えた。

-4- 改善の具体策

 ア 学校行事の企画,立案に各学級の生活班長(全校プログラム委員)を参加させ,内容の検討,役割分担,反省等をさせる。

 イ 学校生活の流れが生徒に理解しやすい。また,生徒が目的意識がもてるような年間計画を作成し,生徒に示す。

 ウ 勤労生産活動の実施。

 エ 教師,生徒,父母が共に活動する奉仕活動の実施。

 オ 地域の一員としての自覚を高めるためのボランティア活動の実施。

 カ 地域文化活動を通しての地域の人々との交流をはかる。

-5- 研究実践の手順

 ア 企画立案に生徒を参加させるための組織。

図

 イ 各実践毎に教育課程研究部会が教師の指導案を作成し,現職教育部会,職員研究協議会で検討調整した。次に生徒の実施案を教師の指導を基に,全校プログラム委員会により,具体的ねらい,計画,分担,事前準備,実施の流れ,事後のまとめ,評価,反省の観点につき原案をつくり,学級会へおろした。教師の指導案は基本目標,指導の流れ,日程,対外的援助等を案として示し,それをおさえて生徒の実施案が具体的に創意工夫し,生徒自らが立案するという関係である。

 ウ 実践後,教師は観察評価,PDS評価を行ない,生徒も自己評価,アンケート,感想文等を集計し,改善点をさぐり,次の計画,実践に,また,生徒指導,生徒会活動に生かすようにした。

(2)研究の結果と考察

 -1- 勤労生産活動(収 穫)

教師の指導案例
行事名 勤労生産活動
<目標>

生産の喜びを体験し,教育目標である(1)思いやる心を持つ生徒(2)考えぬく力をもつ生徒(3)鍛えぬく力をもつ生徒を具現化するために栽培活動を重視する。

この実験を通して,協力し合うこと,働くことの尊さ,働く人々を尊敬する態度を培い作り育てる活動の楽しさと成就感を体得させ,正しい勤労観をもった心身ともにたくましい人間性を育てたい。

また地域社会の自然の中で力いっぱい身体を動かし,大地に働きかけ,自分たちの力で生産する事を通して,勤労の必要性,勤労に対する心構えを自覚させたい。


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