福島県教育センター所報ふくしま No.88(S63/1988.10) -036/038page
体育,保健体育
今年度から学校体育経営講座がなくなり小学校1次・2次,中学校1次・2次,高等学校の5つの講座で構成しています。1次講座は指導計画や評価基準の作成ということで授業に直結した内容,2次・高等学校講座では各研究協力校での授業研究と保健体育課の指導主事を迎えての研究協議が中心となっています。また,各講座とも県内外の大学などの専門の先生方による講義・実技などを1コマずつ組み入れて,最新の指導法について研修を深めることができるようになっています。
道徳
新学習指導要領で道徳には大きな改善が盛りこまれるようです。本講座では,新しい道徳教育のあり方に柔軟に対応していけるよう三つの角度から内容の充実に努めています。一つは,中央講師による道徳教育推進の核となる最近理論等の講義。二つめは,実践に生かせるよう具体例をたくさん紹介しながら授業作りの基となる資料分析,指導方法の工夫等を演習します。三つめは,情報交換等の協議を含め各校の道徳教育を活性化させるための計画作成手順等の実務演習を行います。
特別活動
この講座は,児童生徒の健全な人間形成の視点から,中央講師による特別活動全般にわたっての講義と,児童生徒活動における指導上の諸問題を互いに出し合っての研究協議,さらに,指導計画の見直しを含めた評価のあり方・指導案作成を中心とした演習等が主な内容です。
一人ひとりを大切にした話し合いやグループ活動等,特別活動の特質をそのまま研修に生かして実施しています。
以上のように授業実践における今日的な要請にこたえるとともに,所員の創意工夫を生かし,特色ある講座の編成につとめ,おいでいただく先生方の研修が実り多いものとなるよう努力しています。
編集後記
・ 本年度もはや10月,秋麗紅葉の季節となりました。「天高く席肥ゆるの候・灯火親しむの候」など以前はよく時候のあいさつに使用されましたが,この頃はあてはまらなくなったといわれます。それでも,虫時雨など夜毎に繁く聞く時,日本人として心和むものです。各校においても,秋の文化的行事の一環として自然教室・自然体験学習等行なわれていることと思いますが,こうした行事を増々盛んにしていきたいものと思います。
・ 所報ふくしま88号をお届けします。今回から各校の教育活動・授業実践に直結する教材研究・研究実践報告を多く載せました。各校要望に応えようとした配慮です。「所員個人研究」として,図画工作・美術科・学級経営・算数科・理科等。「現場研究実践」として,泉崎一小の菊地順雄先生,山都中の和田敬三先生,舘岩中の和田光先生の報告文があります。ご活用願えれば幸いです。今回の「特別寄稿」は,国立教育研究所企画室長の牧昌見先生から示唆に豊む玉稿をいただきました。ありがとうございました。
・ ところで,生徒指導問題については各校とも大きな学校課題として力を入れ援助指導をしているところですが,ある論文を読んでいたら,「現代の日本の子どもが持つ一般的問題傾向」として次の点が指摘されていました。-1-親・教師・子の“友だち化”,子ども同士・都市と農村部の子の“画一化”,-2-おそい自立・依頼心の強さ,-3-早い自己の客観視,-4-受け身の姿勢・少ない自己主張,-5-広がる疲労感,-6-大人社会への早い順応,-7-モラトリアム傾向(大人になりたくないと自己の成長を拒否する考え方)等。いうまでもなく生徒指導の機能は,治療指導にとどまらず,予防・開発援助指導にこそ本質があるわけですが,こうした一般的問題傾向を考えると,とりまく生活環境の変化による現実の子ども像を前にしては,社会教育・家庭教育・学校教育連携に基づく生涯学習を通して援助指導を続けていかなければならぬことをいまさら感じさせられるのです。 (編集子)