福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -009/038page
(3) 集計結果の分析および考察
1 全体のプロフィールは不登校の生徒は健常の生徒より低い。
これは,生活全体に活動性がなく覇気がない日常生活を送っていると考えられる。
2 CPが低い。
これは,生活に厳しさがなくいい加減さがうかがえる。対人関係においては嫌なことは嫌と言えず,また,他を批判するようなこともない。さらに,規律を守ろうとする気持ちも薄いと考えられる。
3 NPが低い。
これは,他人に対して手を差し伸べようとする気持ちが薄く,自ら対人関係を積極的に作ろうとしていない状況がうかがえる。
4 Aが低い。
これは,物事を冷静にまた客観的にとらえ解釈することが不得手であるため現実を直視できていないのではないかと考えられる。そのために問題の解決に対しての方策を自ら考えていくことができないと思われる。
5 FCが低い
これは,子供らしい伸び伸びとした様子が少ない。日常の生活において自由に自分を表現できず対人関係においても一歩距離をおいている様子かうかがえる。そのため,深まりのある友人関係を作ることができず友人の数も少ないと考えられる。
6 ACが高い
これは,他に対して協調性が高いことである。このことから自己主張をせず自分を抑えて無理に相手に合わせている様子がうかがえる。
以上を総合してみると,不安や不満があっても自らそれを解決していこうというエネルギーに乏しく自分の世界に逃避している姿が考えられる。
4.親の性格特性と養育態度
(1) 集計方法
昭和59年度から昭和62年度までに当教育センターに不登校を主訴として来所した高校生の親の事例(父親80例,母親113例)の中からエゴグラム(九大式,8点法)と親子関係診断検査(田研式)の両方実施してある事例を抽出し,その分析を試みた。
(2) 集計結果
1 エゴグラム
結果は表2,図2の通りである。
表2 不登校の子供をもつ父母のエゴグラムの各自我状態の平均得点
CP NP A FC AC 父親 2.59 4.01 4.21 3.65 3.05 母親 1.94 4.36 3.49 3.91 3.39 図2 不登校の子供の父,母のエゴグラムのプロフィール
2 観子関係診断検査
結果は表3の通りである。
表3 不登校の子供をもつ父母の親子関係診断検査
(田研式)における各型の平均値(パーセンタイル)
型 消極的拒否型 積極的拒否型 厳格型 期待型 干渉型 父親 32.7 53.8 64.8 56.3 72.1 母親 31.2 48.4 72.3 55.8 64.9 型 不安型 溺愛型 盲従型 矛盾型 不一致型 父親 64.4 51.6 59.6 40.9 46.4 母親 64.5 49.4 60.6 41.2 34.4