福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -013/038page
し売上原価・商品売買益を計算できること,2-各勘定に正しく記帳できることである。
5.フレームの内容(スクリプト)の作成
CAIコースウェアは,フレーム型のものが数多く作成されている。フレームは,教授情報の提示、それに対する学習者の応答入力,応答に対する評価と処方からできている。この提示,応答,処方の1単位をフレームという。コースウェアは,このフレームを順序よく配列して作成する。その善し悪しは,フレームの内容すなわちスクリプト(台本原稿)によって決まる。ここでは,教材を詳しく分析して,分り易く学習に興味をもたせるようなスクリプトを作成することが要求される。
6.コーディング
フレームの内容をコンピュータの言葉に置き換える作業をコーディングという。コーディングは,BASIC言語か,オーサリングツール(コースウェア開発用の道具)を用いて行う。「簿記会計T」学習コースは,開発の当時に便利なツールがなかったので,BASIC言語でコーディングしている。オーサリングツールを用いてコーディングをすると,ワープロ感覚で作業ができ,簡単に短い時間でコースウェアを開発することができる。そこで,これからのコースウェア開発にはこちらを用いることをお勧めしたい。
7.テストラン(試行)とデバッグ(修正)
作成した学習コースを授業で実際に使ってみると,思わぬエラーが続出することがよくある。それらを一つひとつ解決していかなければ実用に耐えられる学習コースにはならない。紹介している学習コースは,福島県立福島商業高校で何度か授業で試行して改善を加えたものである。
8.学習コースの特長と期待できる効果
この学習コースを開発するにあたって,特に工夫したことは,次の点である。
1 PF(機能)キーと数字キーだけで応答ができるよう操作性をよくしたこと。入力には数字キー以外は受けつけなくしている。
2 詳細に分析した学習内容を1ページにまとめページ付けをしたこと。
3 各ページの学習が終了するどとに,評価の画面を設けたこと。
4 PFキーを押すと,簡単に前ページへ戻るとか,もう一度同じページを表示するなど,繰り返し学習するのに便利な機能を加えたこと。
5 学習進行表(プリント教材)を準備したこと。「簿記会計I」の学習では,正しい結果を出すことに加えて,記帳については,その手順を正しく習得することが大切であるといわれている。教科書,問題集等には,この記帳手順を順序よく示してはいるが,学習者に対してそれらを一度に全体を提示しているので,記帳手順を一つひとつ追って学習していくのに,困難を感じる者が多く出ている。コンピュータを利用した学習(CAI)では,順序よくプログラミングしておけば,いつでも,その順序にそって学習場面で必要な分だけの教材を再現することができる。CAIによると定められた手順で順序よく学習できるから,「簿記会計I」の記帳手順を扱うような捜業には十分な効果が期待できる。
9.おわりに
コンピュータ支援学習(CAI)のメリットは,学習者が「1-個人の能力や特性に応じて2-自分のペースで学習を進めていくことができる」という点にある。コンピュータを利用する授業を行うには,ハード(コンピュータ機械)の導入ばかりでなく,ソフトの対応がせまられている。良質な教育用ソフトウェアを開発し,流通していくことが,CAIをより一層発展させることになる。