福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -014/038page

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所員個人研究−(中学校英語科)

LET'S READ 試 案

−AETとのティーム・ティーチングを通して−

学習指導部 林 宗一郎

1.はじめに

 教科書の内容に関する指導上の問題で,しばしば取り上げられるものに,LET'S READの取り扱いがある。

 LET'S READ に教師も生徒もなぜとまどいを感じているのか考えてみると,他のLesson が比較的短いいくつかのパートに分かれているのに,LET'S READ では,一つの内容を一気に読むということが要求されているためである。

 そこで,いくつかの先導的な試みなどを参考にしながら,LET'S READ に関する試案を述べてみることにする。

2.中学校学習指導要領における「読むこと」の目標

 「読むこと」の目標は,

 〔第1学年〕簡単な事柄について書かれている初歩的な英語の文を読むことができるようにさせる。

 〔第2学年〕書かれている 事柄の概要をとらえながら, 初歩的な英語の文を読むことができるようにさせる。

 〔第3学年〕書かれている 事柄の要点をとらえながら, 初歩的な英語の文を読むことができるようにさせる。

と,述べられている。

 断るまでもなく「読むこと」の目標は,表現が「概要をとらえながら」(第2学年)と「要点をとらえながら」(第3学年)と違っていても,内容理解にあることは間違いない。しかしながら,実際問題として「概要や要点をとらえながら読む能力」を身につけさせることは非常に難しい。

3.「読むこと」の指導上の問題点

 内容把握が容易にできない理由として,次のような点が挙げられる。

(1) 内容理解は,黙読によって行われるのが普通である。しかし,その内容把握は,読んでいる文の語句及び統語構造によって伝えられる意味に限られる。しかし,ストレスやイントネーションなど音声上の違いによる意味の違いも文字から読み取らなければならない。

(2)(1)のためには音読が必要になるが,音読は中学校ではむしろ,内容理解もさることながら,文字→音声→意味の結びつきを確実にするための基本的な学習活動として行われるのが普通である。

(3) 内容理解で最終的に目指すものは,直読直解であるが,次のような理由で実際はなかなか容易ではない。

  1 文中の語句の意味に習熟していないために一語一語にこだわざるを得ない。

  2 文法知識を瞬間的に働かすほどになっていない。

  3 文を理解するのに最少限必要と考えられる意味単位をなす語群を区切って読むことができない。

4.開演点を解決するための方法

 (3)のような問題は,今に始まったものではなく「読むこと」には絶えずつきまとってきたものである。そのたびに解決策もいくつか提案され,そして消えていった。最近も次のような理論が紹介されている。

 (1) インプット理論

   この理論は第2言語習得についての理論である。現在の能力レベルより少し高いレベルのインプットを理解することによって言語を


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