福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -015/038page

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習得する。つまり,習得は聞くこと読むことによってなされるというものである。

 その際の留意点として以下のことが挙げられている。

  1 適切なテキストと目標(読む理由)が必要である。

  2 適切なテキストの基準は複雑さのレベルが生徒の能力に合っていることと,生徒がおもしろいと思うことの二つである。

  3 複雑にする要素は,語彙,統語,意味である。

  4 目標は,テキストが生徒を読む気にさせる情報や伝達内容を含んでいる。

(2)スキーマ理論

 この理論は,読み手のあらかじめ持っている題材や言語に関する先駆知識(Prior Knowledge)をリーディングの指導に利用するものである。この理論を利用すれば,

  1 テキスト全体が何について書かれているか。

  2 StoryやParagraphがどのように発展するか。

  3 語彙や文法をどのように理解するか。

 というふうに大きなものから小さなものへ,即ちTop-down式に指導することが可能になるというものである。

 以上二つの理論は,内容理解のリーディングの指導という点から考えると興味深い理論であるがいずれの方法をとっても,イントップする素材,内容,量の選択に問題があったり,生活経験からくる先駆知識に差があったりして手軽に使うというわけにはいかない。

 そこで,比較的容易に生徒の興味・関心を引きつけることができるものとして,ビデオの使用とAETとのティーム・ティーチングによる指導を考えてみた。

5.具体例(試案)

 内容を把握する考え方には「部分から全体へ」という考え方と「全体から部分へ」という考え方があるが,「全体」と「部分」との関係は一方的なものでなく,相互作用的なものであると考える。「部分」を無視しては「全体」をとらえることはできないし,逆に「全体」の傾向をとらえることによって「部分」の解釈もより正確になると思われる。そこで試案は,「全体」→「部分」→「全体」という考え方で指導法を工夫してみた。

(自称:リサイクルメソッドとよぶことにする)

(1)題材  LET'S READ 4

    The First Weather Station on Mt.Fuji(New Horizon English Course 3)

(2)目標

  1 物語の概要,要点をとらえながら読み,どんなことが書かれているか把握する。

  2 AETを活用しながら,読み取った内容を表現活動に結びつける。

(3)指導計画(4時間)

  第1・2時 物語全体の「概要」をとらえさ(本時)せる

  第3時  ・ 新出語句の発音

       ・ 意味の確認

       ・ 主な言語材料を用いての表現を中心とした言語活動

  第4時 物語全体の「要点」をまとめさせる

(4)本時の目標

 AETとのティーム・ティーチングとビデオを活用することにより物語全体の「概要」をとらえさせる。

(5) Teaching Procedure  JTE:Japanese Teacher of English AET:Assistant English Teacher

表

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