福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -026/038page
4 事前・事後・把持テストの結果
5 結果の考察
ア 事前・事後・把持テストの結果について
(ア) 会話部分に「」をつける。(1〜5)
・ 事前テストでは地の文まで「」の中に入れてしまい,70%を切っていたが,事後テスト,把持テストでは100%まで到達し,区別ができるようになった。
(イ) だれが話した言葉かを書く。(6〜10)
・ No.10の問題には抵抗があるようだが有効度指数,把持率から考えると,理解し定着したと考えられる。
(ウ) 音読記号をつける。(11〜15)
・ 二つの「おうい。」についての記号が異なるのは,No.12は空の高い所から言うので,だんだん声が小さくなると考えた児童も多かったためである。
・ No.15には記号の併用も見られ,自分なりに工夫して音読しようとしている。
(エ) 会話部分に気持ちを書きこむ。(16)
・ 学習を進める中で,登場人物の気持ちがわかってきたことがうかがわれる。
イ 「音読」に関する意識調査について
“「」の読み方を考えて読むこと”の項目が高い伸び率を示している。会話文への意識が高まってきたからだろう。
(3) 結 論
1 音読に焦点をあてたワークシートの活用は,児童の思考を無理なく深めていくことができ,文章を正しく読み取ろうとする態度を育てるのに有効である。
2 音読記号は,児童の中から必要に応じて作り加えられたものであり,会話部分を意識し,音読を工夫している姿が見られ,音読への取り組み方が積極的になり進歩が見られる。
3 音読の工夫は,会話部分から地の文にまで広がり,気持ちや様子を表現している音読に対して認め合い,賞賛する雰囲気ができてきた。
5.反省と今後の課題
1 ねらいに応じた音読の方法(一斉に,グループで,隣りの人と,一人でなど)を工夫し,個人の目標をもたせ,音読の機会を多く持たせるように必がけていきたい。
2 音読記号については,一つの記号で縛ってしまわないよう配慮し,自分なりの考えを取り入れて多様な読み方を開発できるように指導していきたい。
3 ワークシートを用いた学習に効果がみられたので,会話部分だけでなく地の文へも転移させていきたい。
4 記録にとどめるために,個人の録音テープを持たせて発展的に読みの変容を探っていきたい。
6.参考文献
・ 教育研究のすすめ方 (福岡県教研連盟)
・ 黙読・音読・朗読の方法 (明治図書)
・ 国語科基礎,基本の体系的指導( =@)