福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -027/038page

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研修者研究報告(教育研究法講座)

「一人ひとりの個を生かした探究学習を深める観察・実験の指導」

−電流回路を通して−

伊達郡梁川町立梁川中学校教諭 我 彦  武

1.研究の趣旨

(1) 研究の動機とねらい

 個々の生徒の授業観察から,課題に対して疑問や問題を発見し,調べようとする意欲的な生徒。考え方や発想は良いが解決の方策を見つけだせない生徒。基礎的な学習技能が,不十分で結論まで到達できない生徒。実験操作は熱中するが,記録やまとめ方のできない生徒。記録だけで終わってしまう生徒など思考タイプのちがいや学習技能習得の差,習熟度の差,興味・関心や意欲等の差など情意面でも個人の様々な特性のちがいの実態がみられる。

 そこで観察・実験を通して基本的な操作技術をマスターさせ,日常の事象のなかから予想・推論・測定・規則化など自然を調べる能力と態度を育成し探究的な学習の仕方を身につけさせる。

 そのなかでワークシートや学習ガイドの効果的な活用や個に応じた選択別学習課題や学習課題順序の選択を設定しそれを自ら選択し解決していくことによって探究学習が深まるもの考え本主題を設定した。

(2) 問題点

 本研究を進めるに当たって,生徒全体の傾向をつかむとともに一人ひとりの個性や興味・関心を知るために.アンケート調査を実施した。

 電気については,生徒は日常生活のなかで経験しているが,直接事象に触れ五感を通して得られた知識になっていないように思われる。さらに量的な見方・測定器具の使用法,興味・関心からくる個人差・男女差・技能面等で大きな差がみられる。

1 技能面・情意面における調査

表 技能面・情意面における調査

2 電気の学習についての意識調査

表 電気の学習についての意識調査

 ほとんどの生徒は,電気の学習について重要性を認識し,観察・実験に興味・関心を持っているが,自ら課題に向かって意欲的・積極的に取り組んで解決していこうとする能力や態度までほ,育成されていない。

 観察・実験においては,操作技能や記録・グラフ化等の情報処理能力や規則化・一般化までの探究学習訓練が個に応じて必要となってくる。

(3) 原因

1 生徒側

 ア 課題に対して疑問や驚き等の興味・関心の意識が少ない。

 イ 既習経験や学習技能を生かして自ら課題を解決する学習に慣れていない。

 ウ 観察・実験の目的や方法を十分理解していないために予想をたて結果がでても,達成感・成就感・満足感が少ない。

2 教師側

 ア 課題に生徒の好奇心をかりたてて,興味・関心を刺激し,意欲をもって調べたいと


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