福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -005/038page

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所員個人研究−中・校等学校保健体育

エイズの正しい理解を促す保健の授業

学習指導部 吉 田 政 勝

1.はじめに

 「エイズ」というと,近頃はマスコミでもあまり騒がれなくなってきていますが,本当はどうなっているのだろうと気になっている人も多いことと思います。ところで,最近のテレビコマーシャルでは政府広報という形でエイズ予防の呼びかけがなされています。また,1988年から12月1日が「世界エイズデー」に定められました。これは,WHOがエイズについて正しい知識の普及などを各国に呼びかけて,1988年5月の総会で定めたものです。厚生省でも「エイズは予防可能な病気です」との標語を掲げて,各人が正しい知識を持って行動すれば,予防はもちろん他人に感染させるようなこともないと強調しています。

 このことは,エイズ予防対策は,エイズ教育によって一人ひとりがエイズに対する正しい知識を持つことからスタートする,ということを強調していると思われます。WHOがエイズ対策に本格的に取り組んだ1986年以降,アメリカ西海岸などの男性同性愛者のエイズ感染率が10%台から1%台へと減少するなど,実際にエイズ教育の効果が表われてきているという報告もあります。このようにエイズ教育の必要性が叫ばれている中,学校でもエイズ予防について何らかの形で教育する必要があります。それには,まず保健の授業で取り上げることが先決でしょう。そこで,本稿ではエイズの教材として「エイズの授業書」を紹介してみたいと思います。

2.エイズの授業書について

 保健学習において,エイズ予防については,中学校では「障害の防止と疾病の予防」,高等学校では「集団の健康」などにおいて取り上げるのが適当と考えられています。しかし,今回の授業書づくりに際してこのことには特に配慮はしませんでした。具体的な授業計画に当たっては,次のように進めました。

(1)授業時間数は,3時間程度とする。

(2)学習内容は,次のように構成する。

  1 エイズとは何か

  2 エイズの感染経路と予防

  3 エイズと私

(3)授業で生徒に理解させたいこと

  1 エイズの現状

  2 エイズの正しい知識がなぜ必要か

  3 エイズは自分自身で予防できるということ

  4 エイズ予防と日常生活

  5 エイズにかかわるプライバシーや人権問題

(4)授業の中では,グループやクラスで話し合いの機会を設ける。

 以上のことを前提にエイズの授業書を作成したわけですが,紙面の都合上,その一部を紹介します。なお,実際の授業に当たってはOHPやその他の資料も使用することになります。

(授業書による授業運営の仕方は省略)

-エイズの授業書-

<質問−1>エイズの授業に入る前に,次の質問に答えてください。
1,あなたはエイズに関する知識が十分あると思いますか。
 A…ある     B…ない     C…どちらともいえない
2,「エイズは外国人がかかる病気で日本人には関係がない」という考えをどう思いますか。
 A…そのとおりである  B…まちがっている  C…どちちともいえない
3,今後,日本でもエイズ患者が増加すると思い主すか。
 A…増加する   B…増加しない   C…どちらともいえない
4,自分もエイズに感染するのではないかという不安感がありますか。
 A…あろ     B…ない     C…どちらともいえない
5,エイズは自分で注意すれば予防できると思いますか。
 A…できる    B…できない   C…どちらともいえない
6.あなたの友人がエイズに感染した場合,その友人とこれまでと何じつき合いをしますか。
 A…する     B…しない    C…どちらともいえない

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