福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -010/038page
人,グループ,学年部会としての研修の取り組みは,それぞれ10%強でほとんどが小教研家庭部会のテーマに基づいた教材研究であり,個人研究である。このように低調な理由としては,教科時数が少ないことや,分科で他に自分の専門教科をもっていて担当者が少なく限定されることなどが考えられようが,その割合は他教科と比較しても極めて少なく(所報85号P6参照)今後の大きな課題であろう。
イ ※公的機関 での研修経験(図−11)
ある ない 無答 計(校) 計(校) 119
22.3%
401
75.2%
13
2.4%
533
100%
※(教育センター,文部省関係,教育委員会関係)
家庭科の研修経験があるのは,約22%である。これは,担当者の数,家庭科実施クラス数から考えてもその割合は少ないといえよう。例えば,当教育センターでは小学校家庭講座を年2回(計20名)開設しているが,現況ではその数には限りがある。他の公的機関も同様であろう。一方,教員の質の向上をめざし,本県では教員研修の見直しが行われており,次年度からは当教育センターでもより多くの先生方が研修できるよう,検討している最中であり,上記の割合も高まるものと思われる。さらに,その内容についても,授業にすぐ役立つ実技・実験等をはじめ,多くの要望に対応できるよう構想中である。これらの資料を参考にして研修の充実に努めたい。また,男子担当者の積極的参加も働きかけていきたい。
〈4) 指導内容及び方法について
1 領域の指導難易度(図−12)
食物領域 被服領域 住居と家族 無答 計(校) 指導しやすい
319
59.8%
154
28.9%
51
9.6%
9
1.7%
533
100%
指導しにくい 26
4.1%
141
26.5%
357
67.0%
9
1.7%
533
100%
指導しやすい領域は(1)食物(2)被服(3)住居と家族の順である。一方,指導しにくい領域は前述の逆で(3)(2)(1)の順となる。ここでは指導しにくいとされる住居と家族領域について考察を加えることにする。指導しにくい理由としては,教材研究不足,実験・実習のための備品不足,家庭での実践にむすびつきにくい,プライベートな面との関わりが多く扱いにくい,児童の意欲を喚起させることが難しい等が考えられる。この領域は,今年度の小教研家庭部会の研究テーマでもあり,当教育センターでも講座で取り組んでおり,それらの成果に期待したいところである。また,改訂される学習指導要領では,この領域は「家族の生活と住居」と改編されるので,家庭科の核となる家族分野の見直しと教えやすくするための指導法の開発が必要となろう。
2 実験・調査について(図−13)
取り入れている なし 無答 計 実験
327
61.4%
186
34.9%
20
3.8%
533
100%
調査
307
57.6%
113
21.2%
113
21.2%
533
100%
実験については取り入れているが約61%,調査については約58%が取り入れている。いずれも過半数は実施しており,これらは家庭科における実践的な態度を育てる学習方法である課題解決学習の要として,かつ実践的活動の一つとして今後さらに強化されるものと思われる。
(5)家庭科を指導する上での改善要望(図−14)
項目
計(校)
施設・設備の充実
325 61.0% 教育機器の充実
22 4.1% 指導内容の改善
64 12.0% 研修機会の改善
63 11.8% 指導時間の増加
26 4.9% その他
6 1.1% 無答
27 5.1% 計(校)
533 100% 最も要望が多かったのは施設・設備の充実で約61%,次いで指導内容の改善,研修機会の増加が12%前後である。指導内容の改善については担当教員の意識(図−9)では不満が約3%とそれ程めだった数値では表れなかったが,ここでは指導しにくい領域での理由等との関わりが考えられよう。
3.おわりに
小学校家庭科は,他教科と比べて5,6学年だけで指導するという特異性があり,これ自体この教科の弱点であり,諸問題もここに起因するものが多いと考えられる。今回は紙面の都合上,十分な分析・考察とまではいかなかったが,詳細については63年度個人研究報告書をご覧頂きたい。