福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -013/038page
3 授業の各段階での教師による形成的評価による確かめが不十分であった。
(2) 実践授業2(3/8)の結果から
前時の反省に基づき,いくつかの改善策を準備して授業を行った。
結果は表2のようになり,平均正答率は80.1%であった。指導の効果がみられたといえるだろう。改善策として意図したことは次のような内容であった。
1 正答率の低かった子どもたちへの意図的な指名。
2 発言内容について,全体への理解を確かめる発問。
3 まとめの段階での個別的な指導と確かめる助言。
指導の結果,前時で正答率の低かった10名のうち,5名が正答率が高くなり,さらに2名も理解がよくなっているのがわかる。
No.30,17,16,19の子どもたちに対しては,さらに,効果的な指導の手だてを考えていかなければならないが,No.32,39,9,14,7,8の子どもたちは,この授業における指導法の配慮が有効であったといえるだろう。
個人別の注意係数から,No.12,23,25,29,7の子どもたちに目を向ける必要がある。問題の内容と照らし合わせると,23,29の子どもは,この単元全体で中心となる用語の理解が確実でないようにも思われるが,これまでの学習の過程からみて,いわゆる不注意によるミスとみてよいだろう。なお,事後テストの結果ではいずれも高い正答率を示している。
6.おわりに
表面上は活発に子どもたちが発言し,質の高い内容の発表があって,教師自身もそのことに満足していたとしても,そのことが即,理解の深化や学力の定着に結び付くとは考えられないことがある。指導の過程で指導方法や児童の理解についてチェックする機能をS−P表の活用に求め,確かな学力を保障してやることは大切なことである。