福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -018/038page
プロジェクト研究報告
情報活用能力の育成に関する研究
(第1年次)
科学技術教育部
1.はじめに
社会の情報化が著しく進展している今日,情報化社会に対応する初等中等教育の在り方に関する研究調査協力者会議(文部省)は,教育課程審議会の審議の過程の中で,「初等中等教育においても,未来の高度情報社会に生きる児童生徒に必要な資質を養うとともに,情報手段の活用による学校教育の活性化を図るなど,情報化への対応を積極的に進める必要がある。」との考えから,1-情報活用能力の育成(教育内容面),2-学習指導における情報手段の利用(教育方法面),3-情報手段を利用した教員の職務の支援,合理化の3つの面における参考資料(素案)を提示しました。
科学技術教育部ではこの素案にかんがみ,「自己教育力の育成に関する研究」(S60〜S63)に引き続いて,本年度(昭和63年度)より向こう2年間,「情報活用能力の育成」に関する研究を行うことにしました。そして,この研究の基本的な視点を次のように考えました。
(1) これからの社会に生きる者として,自己教育力はもとより,この源となる情報活用能力を十分身につけることは,人間本来の生き方の探求や社会の発展のための原動力になるものとして極めて重要である。
(2) 学校をはじめさまざまな教育機関において,情報活用能力の育成に本格的に取り組む必要がある。この推進に当っては,特に情報化の光と影を明確に踏まえ,新しい情報手段がもつ人間の精神的,文化的発展の可能性を最大限に引き出す必要がある。
(3) ニューメディアという概念と同様に,この高度情報社会という概念についての解釈はまちまちとなっている。このことから,学校現場で,情報機器をどのような場面でどのように使うか,また,どのように取り組めば情報活用に関する資質・能力を育成できるのか等を総合的に検討し,科学的な裏付けをしていく必要がある。
本研究は,その第1年次の研究として,児童・生徒の情報に関する基礎調査を基に情報活用能力育成のための基本的な考え方と実践のプロセスを構想し,今後の研究協力校における具現化に向け「具体的な手だて」の試行・検証を行ったものであります。
2.研究計画と研究実践の概要
前に述べた「協力者会議」の「素案」では,情報活用能力を「情報及び情報手段を主体的に選択し活用していくための個人の基礎的な資質」と定義しています。本研究では,この定義のキーワードである「情報」,「情報手段」,「基礎的な資質」に関する理論研究やこれを構成する要素の定義を手はじめに,次のような計画で研究実践を行いました。
以下に.本研究のメインとなった部分を紹介します。