福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -019/038page

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表(P18の続き)研究計画の概要

(1)情報活用に関する基礎調査について

 この調査は,これから育成すべき要素の分析や最終的に到達させる目標の設定に関連して,現在の児童・生徒をとりまく情報の種類や情報の利用状況を探ることを目的に,地域別,校種別,学年別に実施しました。この調査結果から,次のような傾向をとらえることができました。

 1 児童・生徒が日頃活用している新聞,テレビ,パソコン等の情報手段の種類や活用頻度については,郡部と市部で差異はみられない。

 2 小学校低学年の7割〜8割,高学年の9割はファミコンを使っており,視覚情報の処理体験は学年が進むにつれて増加している。

 3 小学生,中学生の各6割は,直接に必要とする学習情報を親から得ており,次いで教師,友人の順となっている。

(2)情報活用能力育成(プロセス(モデル)作成について

 これは,問題の発見から解決・評価までの過程を情報活用という観点から構造化し,情報活用能力の育成を図ろうとするものです。特に,児童・生徒の発達段階や各教科等の科目・内容相互の関連を踏まえつつ,評定尺度2(ローマ数字)(情報活用能力の程度を測定するために作ったもので,12要素から成り立っている。)により陥没要素として指摘されたものについて,育成プロセスが作成できるよう一般化しました。下図はその一例です。

図1

(3)情報活用能力の育成に関する検証授業の実践について

 この実践は,前述の理論研究や調査研究を基に情報活用能力が育成された状態像の具現化を図るための「モデル」として試行したものです。学級指導(高校案内と進路指導)を題材に,当センターが開発したソフトウェアを活用して,中学2年生1クラスを対象に行いました。この検証集団の陥没要素は「情報科学への基礎理解」と「情報機器の操作能力」でしたが,この授業を通して著しいプラス変容が見られました。これらの実践結果は次年度の研究(研究協力校での実践)の参考資料として活用することになっています。

3.おわりに

 今年度は,研究を進める上で,情報活用能力に関する要素の定義づけや育成目標の焦点化が一番のカギとなりました。第2年次は,いよいよ研究協力校での実践に入ります。第1年次での研究成果を踏まえ,さらに充実したものにしていきたいと考えています。なお,1年次の研究成果は研究紀要としてまとめ,後日,各学校に配布する予定です。

(文責 秋葉 史裕)


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