福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -024/038page
研修者研究報告(学校]経営A講座)
学校教育目標の具現化をめざす学校経営
−校内研修を中心として−
前二本松第一中学校教頭,現要田中学校校長 安 部 利 介
1.研究の趣旨
研修は教師の生命である。教師が常に自己を磨き自己変革に努力するとき生徒は変容する。教師の変容なくして生徒の変容は望めない。教師が変われば生徒も変るとは正にこのことを言っている。この意味で,研修の重要性はいくら強調しても強調しすぎることはないであろう。
全教職員によって組織的・計画的に実践される校内研修は学校教育目標の具現化を支える最も重要な機構であると言える。
本校では,「正しく判断し,自主的に行動する生徒」「規律を守り,礼節を重んじる生徒」など五つの学校教育目標をかかげ,それらの具現化をめざして教育実践と学校経営をすすめている。
昨年度,これらの学校教育目標と生徒の実態等から「自ら課題意識をもち意欲的に取り組む学習指導はいかにあるべきか」という研究主題を設定し,3か年計画による校内研修を発足させた。これをうけ,各教科ごと副主題と仮説を設け日常の授業実践をとおして研究の方向等を模索してきた。
学校教育目標の具現化をめざす学校経営という立場から昨年度の校内研修の反省をまとめてみると,次のような点があげられる。
第一に本校の伝統のひとつである「学習の合言葉」(=学習の基本に関する教師と生徒の約束)が,やや形式的になっているのでこれを見直し学校教育目標の具現化を図る上から強化していかなければならない。第二は学校教育目標と研究主題との有機的関連について全職員で十分に時間をかけ検討し,完全に理解できるように努力すべきであった。第三には,各教科部会ごとに教科の特性と生徒の実態に応じ,それぞれ教科ごとに研究副主題を設定してきたが,その記述にあたっては,めざすべき生徒像を学校教育目標との関連でもっと明確にすべきであった。
以上の理由で校内研修が教育目標の具現化にまでは至らなかったと考えられる。本校の教育目標と研究主題ならびに「学習の合言葉」との関連を学校経営の視点から構造化することによって,校内研修は学校教育目標の具現化を支える機構となると考え,この主題を設定した。
2.研究の見とおし
校内研修を推進するにあたって,学校教育目標と現職教育の研究主題との関連を構造化することによって学校教育目標のめざす生徒像を焦点化し,本校の「学習の合言葉」を見なおし,その指導を徹底していけば,学校教育目標の具現化をめざす学校経営ができるであろう。
3.研究の方法と対象
(1) 研究の方法
1 校内研修のねらいを明確にするための現状把握と問題点の分析
2 学校教育目標と校内研究主題の構造的把握
3 校内研究主題と「学習の合言葉」の構造的把握
4 研究内容・方法の吟味と焦点化
5 意識調査による検証と考察
6 研究の評価とまとめ
(2) 研究の対象
本校職員 38名
本校生徒 444名(在籍の半数)
4.研究の内容と推進計画
(1) 研究の構想と策定 5・6月
(2) 教育目標に関する意識調査と現状における問題点の把握 6月