福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -025/038page
(3) 校内研修の組織・運営の改善 7・8月
(4) 「学習の合言葉」強化週間設定による実践 6・9・10・11月
(5)意識調査による検証と研究のまとめ 11・12月
5.研究の概要と考察
(1) 研究の概要
1 教育目標と校内研修の研究主題との関連・構造化
ア 教育目標の具現化と校内研修
ひとりひとりの生徒の望ましい変容,人間としての成長・発達をねらいとして教師が行う活動が研修である。校内研修は教師の変容を促し,その変容が生徒を変容させ最終的には教育目標に示されている生徒を育成することをめざすものである。つまり,校内研修は教育目標の具現化をめざす教師の活動であり,図示すると次のようになる。
イ 教育目標と校内研修の研究主題との関連についての職員の意識
校内研修の研究主題を設定するにあたっては一般に次のような考え方や方法が大切であるとされている。
・主題と教育目標とのかかわりを十分検討する。
・研修内容と教育目標にかかわる年度の重点努力事項等との関連を図る。
・研究実践にあたっては実践過程における評価や実践後の生徒の変容を評価し,これを次の計画に取り入れる。即ち前年度の反省結果が十分生かされるように設定されなければならない。
年度はじめの職員の意識調査の結果は上の表のとおりであった。教育目標と研究主題の関連をある程度認めながらも教育目標の具現をめざす研究であると考えていない割合と直接的な関連はないとする割合を加えると30%を超えていた。このことは研究主題設定の段階では教育目標が全職員の意識のなかにしっかり根を下ろしていなかったことを示している。その理由として教育目標と研究主題の相互関連が十二分に図られていなかったこと,また教育目標が直観的に理解されるよう構造化と行動目標化されていなかったこともあげることができる。
教育目標と研究主題の関連についての意識調査(6月)
学校教育目標の具現をめざす研究主題である 69% 学校教育目標との関連はある程度みとめられている 25% 学校教育目標との直接的な関連はないと思う 6% ウ 教育自壊の具現が困難である理由
教育目標に対する意識の変容
項目 6月 10月 やや抽象的で行動目標化されていない 38% 0% 教師の側に立って発想することが多すぎる 31% 27% 教育目標を全部正しく言える教師がいない 19% 7% 教師の意識化と協力体制が十分でない 12% 7% 「やや抽象的で行動目標化されていない」が6月の時点では最も多かった。行動目標化されていない点は確かであるが,やや抽象的であるというのは正確ではないと思われる。教育目標と学年・学級の経営目標などをみれば容易に理解できるはずである。共通理解と意識化することの必要性をここでも認められる。同じく6月の時点では約20%の職員が教育目標を曖昧にしか覚えていないということも明らかになった。
教育目標は教師が生徒をいかに導くかの目標である。教師ひとりひとりの内面に生きて働く指標である。このことがすべての教師によって主体的に認識されなければならない。日常的に教育目標が強く意識され実践されていくとき,はじめて教師は変容していく。
構造化された教育目標と研究主題の関連上記の反省に立って改善と関連を図り,特に配慮した点は,教育目標を分析しその要素を取り出し行動目標として示したことである。教育目標の達成度を評価しやすくした。また,教育目標をうけて研究主題が設定されていることを一層明確にするため,両者の関連を線で結び誰でも直観的に理解できるようにした。