福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -026/038page
2 本校のめざす生徒像
教育目標を具体目標,行動目標として示すことにより,職員にも生徒にもわかりやすいものになった。しかし,もっと大切なことは本校がめざす生徒像を正しく焦点化することであった。「自主自律」が教育目標であると単純に考えている生徒が多かったが,これでは不十分である。
その理由は教育目標のひとつに「健康で強い意志をもつ生徒」が掲げられているからである。自主自律のなかに健康で強い意志をもつ生徒が含まれているとみることには無理がある。そこで,本校のめざす生徒像を教育目標を総合的にとらえ次のように焦点化した。即ち,「自主自律の精神に富み,健全な心身をもつ生徒」である。しかし,このままでは表現が長いので「自主自律の精神と健全な心身」とした。
3 「学習の合言葉」の見なおし
ア 本校の学習の合言葉は10年以上の歴史をもっている。つくられた当初は長い文章であった。その後,誰にでも理解できるよう改善されて今日に至っている。本校のめざす生徒像に一歩でも二歩でも近づけるよう教師と生徒が一体となって育ててきたものである。
昭和62年度は年間5回,学習の合言葉強化週間を設けた。強化週間中は学習委員会が中心になり正しい学習態度を身につけようと努力してきた。
学習の合言葉のは(1)と(6)は家庭学習に深くかかわっており,(2)〜(5)は授業時の生徒の学習態度である。
学習の合言葉 合言葉がもっているねらい(意味) (1) 忘れ物をしないようにする 学習道具を準備してくることはもちろん,予習をして授業のぞむこと,宿題をきちんとやってくることなどが出来るようにすることが,この言葉のねらいです。 (2) 始業式に着席する 単に着席するだけではなく,先生がくる前に,教科書やノートを開き,前の時間に学習したことや今日学習する内容にさっと目をとおしながら,先生の来るのを待つことが出来るようにすることが,この言葉のねらいです。したがって教室移動を早めに行うことの意味もこの言葉のなかに含まれています。 (3) 元気にあいさつする 形だけのあいさつでなく,心のこもった,そして意欲に満ちたあいさつが出来るようになることが,この言葉のねらいです。このあいさつによって,生徒も教師もたがいに「よしやるぞ!」「ガンバロー!」という気持ちになってこそこの学習の効果が上がるのです。 (4) 人の話しは目で聞く この言葉の大きなねらいは,集中力です。私語・手わすらをやめ,先生の話や友達の発言・発表に耳を傾け,大切なところはメモしながら聞くような学習態度が必要です。さらに,この言葉のなかには姿勢を正しくして聞くという意味も含まれています。 (5) 勇気を持って手をあげる この言葉の大きなねらいは,積極的な学習態度です。授業の主役は,生徒の皆さんです。皆さんの積極的な発表・発言が良い授業を作っていくのです。正しい言葉づかいで,はっきりと話すことが出来るようにしましょう。このことは,社会人になってもとても大切な事です。 (6) しっかりまとめをする この言葉の大きなねらいは,たしかめ(復習)をしっかりすると言うことです。何事もやりっぱなしでは力はつきません。もういちど,教科書やノートを開き,今日学習したところで大切なところはどこかを明らかにし,本当に分かったかどうかをドリルで確認することが必要です。 イ 学習の合言葉のねらいと強化週間の状況
第1回は5月下旬に実粗12月までに計画通り既に4回,全校の組織をあげて行ってきた。評価はABCの3段階とし,Aは完全に守れたもの,不十分のものはすべてCとした。
評価は,強化週間中毎時間その授業の担任が「学習状況連絡カードに観察法により,生徒の成長を願いながら記入し最後に学級担任が集計するという方法で実践してきた。教頭と担当者がこの間必要に応じ指導助言を行った。
このカードには学級全体の評価と各個人の学習の様子がすぐわかるように,また集計しやすいように工夫されている。
ウ 学習の合言葉からみた教育目標と研究主題
学習の合言葉が教育目標ならびに研究主題から遊離したものであってはならない。それらの関連を全体として,しっかりとらえることが重要である。
従来のものを学習の合言葉の基礎的段階とし,これを内容的にやや高め発展的段階として位置づけ,これによって生徒の意識の一層の高揚と実行しようとする態度の育成をねらいとして見なおしを図った。
(2) 研究結果の考察
1 学習の合言葉の実践と生徒の変容