福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -007/038page
<考 察>
県内小学校における特別活動の全体計画の作成状況は、どの項目においても予想した以上に作成されていないのが現状である。
紙面の関係上、全体計画について以下の3点に絞って考察してみたい。
(1)特別活動の位置づけと、指導内容までの学校教育目標の一貫性
「学校教育目標と特別活動の目標との関連」が10パーセント、さらに、「指導目標」「指導の重点」が焼く50パーセントと低い。特別活動は、極めて弾力的な扱い方が可能であり、他の領域に比べて学校の創意工夫の余地の広い教育活動である。したがって、自校の教育目標との関連は特に重要であり、地域・学校・児童などの実態に即した具体的な特別活動の指導の重点を定めて教育課程上の位置づけを明確にする必要がある。
さらに、その学校の特色のにじみ出た目標を設定し、指導の方向づけを図ることが大切であると考える。
(2)各内容相互、他の領域との関連の基本的事項のおさえ
「各内容相互関連」の項目は20.5パーセントと低く。このことからそれぞれの内容ごとに、単独の活動となっていることが考えられる。特別活動の各内容は、ともに特別活動の目標を達成するための集団活動であるという点で一致した活動である。具体的な内容の内容相互関連はそれぞれの指導計画作成の段階で明確化されるであろうが、全体計画においては、指導の重点に向かっての各内容の指導方向を焦点化し、基本的な関連事項を設定する必要があると考える。
(3)指導計画や指導法についての評価計画の整備
「特別活動の評価」の項目が何と9パーセントと低い。特別活動の諸活動を望ましく展開させるためには、評価のよりどころを明確にするとともに特別活動の機能を十分果たすことができたかどうかを適切に評価し、検討を加え、改善を図ることが大切である。さらに、特別活動においては、活動の成果も大切であるが、いわば人間形成の過程そのものを重視するのであり、児童が自分たちの活動について、自分たちで自分たちの活動を評価できるに至るまでの指導が大切なのである。そのためにも、この評価計画の整備が急務と思われる。
3.全体計画作成上の基本的事項
(1)全体計画の基本的内容(項目)
特別活動の全体計画に盛り込むべき事項については、特に定められた項目や固定した形式があるわけでないが、全体計画が教育課程における特別活動の位置づけや、目標の明確化および全教師の共通理解を図るなどの機能をもつためには、その内容として次の項目が考えられる。
1(丸囲み)指導目標
2(丸囲み)指導方針
3(丸囲み)各内容の指導の重点
4(丸囲み)各学年の指導の重点
5(丸囲み)各内容相互の関連
6(丸囲み)各教科・道徳との関連
7(丸囲み)生徒指導との関連
8(丸囲み)授業時数
9(丸囲み)指導組織
10(丸囲み)家庭・地域社会との関連
11(丸囲み)施設・設備
12(丸囲み)評価計画
(2)全体計画作成上の基本的事項
新学習指導要領に基づき、すべての領域にわたり指導計画の見直しが必要となっているが、特別活動においては、特に次のような基本的事項を重視して作成する必要があると考える。
1(丸囲み)特別活動の指導の重点目標を明確にする。
特別活動は、その性格や内容からみて、学校としての創意と教育的な識見を生かした、特色あるしかも適切な指導が期待されている。そのためにも、計画が単なる他校の模倣や、前年度の形式的な踏襲に終わったりすることのないように十分留意することが必要である。