福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -014/038page

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  方法B
   気泡の発生がまったくなくなり反応は停止した方法Aの液を半々にし、一方に3%過酸化水素水  3ミリリットルを加え、他方に酵素液3ミリリットルを加え、それぞれ発生する酸素量を測定する。
 【実験結果】
  過酸化水素水を加えたものだけ、酸素が平均30ミリリットル前後発生した。
 (3)結果と考察
  発生する酸素の体積はほぼ理論値に近く満足できる。理解度が低い場合には、方法Aで二酸化マン  ガンと過酸化水素で実験させてからおこなうとよい。
 2実験II
  (1)目的
   抽出液(酵素液)の触媒作用は、ある範囲において、酵素液の濃度に比例することを検証する。
  (2)方法
   3%過酸化水素水3ミリリットルに、40倍、80倍、160倍の濃度の異なる酵素液3ミリリ  ットルを加え発生する酵素量とその経過時間を測定する。
  発生した酸素の量が、反応終了時のおよそ2分の1程度のときはいずれの濃度の場合も比例関係に  なっている。
  160倍の濃度の場合で、発生した酸素の量が反応終了時のおよそ2分の1程度になったときの時  間をt秒とし、t秒後の各濃度の酸素発生量を比較し、相対的な反応速度をもとめる。

 【実験結果】
  実験結果
 
  図3 各濃度における反応経過時間(s)と酸素発生量(ミリリットル)
図3 各濃度における反応経過時間(s)と酸素発生量(ミリリットル)
 
  図4 各濃度における(t=8s)後の酸素発生量(ミリリットル)
図4 各濃度における(t=8s)後の酸素発生量(ミリリットル)

  (3)結果と考察
   ある範囲(役10秒程度)において酵素濃度と反応速度の関係がほぼ比例する。t=8秒後におけ  る酸素発生量のグラフをみると酵素の濃度に反応速度がほぼ比例することが理解できる。
  5.おわりに
  酵素のはたらきが、化学反応速度を速める触媒作用であることを理解させるために、身近な材料と  簡易な実験器具で定量的に測定できる実験方法を試み、満足すべき結果を得ることができた。今後  はさらに改善をかさねながら、生徒の理解度に応じた実験の指導法を検討していきたい。
 <参考文献>
  生物の実験法   裳華房
  生物教材の研究  全国理科教育センター研究協議会編
  科学実験書    (昭和56年度・須賀川高等学校 佐久間房次編)


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