福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -015/038page
生徒指導・教育相談実践講座あなたもカウンセラー
一反社会行動の児童・生徒ー教育相談部 鹿島 清・石岡 恒憲・穂積 邦明
前年度まで,「教育相談へのいざない」として紙上学校カウンセラー講座を,15回に分けて連載しましたが,いかがだったでしょうか。お役に立ちましたか。
本年度は実践講座として,事例を通して具体的な教育相談の進め方について掲載していきた・いと思いますので,引き続きご愛読下さい。
内容は,次のとおりです。
第91号 反社会的行動をもつ児童生徒
第92号 非社会的行動をもつ児童生徒
第93号 家族カウンセリングを必要とする児童生徒
第94号 集団理解と集団指導集団 で 規則.約束 を 破る 女子中学生
3人組のこまった生徒
朝自習の時問が始まりました。みんなようやく席に着いたが,まだ,ガヤガヤしています。いっもの三人組が今日も遅刻して入ってきました。
A子,B子,C子を呼んで注意をしようとしましたがやめました。3年生になって担任してから何度も繰り返しているからです。
1校時目は,担任の国語の時間です。当番の低い声だが「起立,礼,着席」の号令には従わずに窓から外を眺めています。
授業中,B子が「Aちゃん,鉛筆貸してよ。」と大きな声で,また始まりました。学級がざわついてきました。「うるさいなあ。」と男子生徒の低い声の注意がきこえました。
学級全体の雰囲気としては朝自習や授業の開始時刻が守れない,給食の配膳が遅いなど,なんとなく節度にかける面がありました。
2年で組替えをしたこのクラスの成績は,次第に下がり,現在は学年で最下位です。スポーツや音楽の学級対抗戦も盛り上がらずパットしません。
そんな中で学級をよくしようと意欲的に声を出している生徒が男女あわせて7人ほどいます。
C子がまた,関係のない私語を始め,声が大きくなってきました。
「C子さん,58ぺ一ジの○○について説明しなさい。」
「わかりません。」,「ね工。」と同調を求めるように隣の女の子に話しかけました。
「ぼんやりして,話を聞いていないからだよ。」
「どうせ,わかんないもの!」
前担任は,「3人が中学2年の5月頃から常に行動を共にするようになったんです。」さらに「いつも,その場その場で何度も,きつく注意はしていたのですが,さっぱり効果がなくて…だんだんこっちもむきになって注意をしたこともあり,ますます悪くなってきたような気がしました。」と,話してくれました。
そこで,担任は最近の3人の様子から問題行動と思われることを拾いあげてみました。・登校時,授業などに「2,3分」遅れる。