福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -017/038page

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 先生は,3人の生徒の顔を思い浮かぺながらなぜこうなったかを考えてみました。

なぜ、A子たちは・・・

・いずれも親のあたたかい心と親身になった育て方を受けてはいませんでした。従って3人とも慢性的な愛情飢餓の状態になっていたのです。
 つまり,さまざまな注意牽引行動を引きおこしたり,集団をつくり同じ行動をしたりすることによって溝足を得ていたと考えられます。
 彼女達は先生方に怒られてもいいから,声をかてくれたとか,こっちを向いてくれたと考えてやっていたのでしょう。
 身をすり寄せてきたのも,着い先生を追いかけいたのも,大声を出したのも自分達をもっと見て欲しかったのでしょう。
・アンダーアチーバーになっていても適当な援助してもらったり,成績が悪かったことなどから行動面でもほめてもらったりすることはほとんどなかったと思われます。
 反対に,絶えず小言を受げたため「自分たちはだめなんだ。」と思うようになったのだと考えられます。

 そこで次のような方針で指導援助を考えてみました。

心をわかることから

・まず,一つ一つの間題行動を指摘して注意するのではなく,A子らの心をわかろうとする姿勢をもつこと。
・できるだけ接触の機会を多くもち,「げんきがいいね。」などと,常に肯定的な言葉をかけたり,「大きな声ではっきり言えるね。」などと,ほめること。
・また,お父さんやお母さんにも子どもの気持ちをわかってあげるようにすること。お母さんといっしょに食事の準備をしたり,家族全員で団らんの機会を作ったり,絶えず働きかけること。
・能カと学カにあった学習プログラムを子どもとともに作り,続けて援助する。

 これらのかかわりで,A子らと心がわかりあってきたら,お父さん的なかかわりを学校の中でも、・強めていこうと考えました。
 このような方針で担任だけでなく多くの先生方におねがいしました。

 まず,生徒指導部の先生に協力してもらいながら
・学級担任   
相談的に
・学年主任   お父さん的に接していただく
・技・家担任  (48歳)お母さんのようにつつんで
・音楽担任   (24歳)おねえさんのように話相手に
・各教科担任  学習相談・教頭先生方の相談にのってもらうようにお願いしさっそく,研修を始めました。
 ねらいを教師が肯定的に評価し,愛情と承認の欲求に答える適切な表現のしかたを身につけることとし,教頭先生の指導で,ロ一ルプレイングの練習をしました。
・これまでのパターン
 教師「毎日,不真面目な態度をしているが,目分のことについて少し考えてみるか。」
 生徒「ああそうですか。そんなら先生の態度はなんですか。」(ここで気持ちが途切れてしまう)
・肯定的な働きかけのパターン教節「(奇声に対して)明るく元気でいいねエ。でも。時と場合によっては,ちょっと気になる人もいるだろうね。」
生徒「カツとすると我慢できない性質(たち)だから。」今までと語し方が違っていますので,むずかし


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