福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -018/038page

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かったが自分自身,顔がゆるんでくるのが分かりました。
 A子,B子,C子の行動をどのように見て,どのように言葉をかけていくか,以前と違って楽しみになってきました。

「そりゃあ、たいへんだったね」



(遅刻して来た)
担「朝の食事のしたくや後始末が大変なんだろうね。」
A「エー,でも慣れていますから…」とすう一と通り過ぎていく
(遅刻を3日続けた)
A「(下を向きながら)熱があり,家を出るのが・遅れました。」(ていねいな言葉づかい)
担「それは大変だ。保健室へ行ってみよう。そんなときでもお父さんの食事の世語してんだろう。大変だなあ。」
A「遅刻してすみません。」(注初めての言葉)(昼休みの教室で)
担「国語ノートよく書いているね。よくやってるなア,感心したよ。」
B「辞書で調べています。」
担「(はっきりした声で)期待してるよ。」(国語漢字テスト90点。テストを返しながら)
担「すごいね,採点しててうれしかったよ。」
B「(照れながら)この前先生に声をかけられてやる気になったんです。」(国語の授業中に私語,次第に声高に)
担「C子さん,78ぺ一ジの・・について説明しなさい。」
C「わかりません。」
担「それじゃア,もう一度説明するからよく聞いていなさい。」,再説明後,再質問。
C「.(仕方なさそうに)…です。」
担「1回説明を聞いただけで、よく分かったね。」というように今までとは違った展開である。
姉的役割の音楽担当の先生は
A「先生,細いね。」
音「そう,電信柱みたいでしょ。」
A「ん一,でもやせてる割りには,結構胸もあるじゃない。」
音「ありがと。」
A「私もスタイルよくなりたい。」
音「身長だってあるし,今のままでいいと思う。
A「そう,自信もっていいかな。」
母的役割の技術・家庭の先生は(放課後,被服室の片付けを手伝わせながら)
B「先生,私たちのことよく呼んでくれますね。」
家「あなたたち,頼りになるからよ。Bさんも家で毎日お手伝いしてるんでしょ。」
B「あんまり,でもA子はすごいよ,先生。」
(教科担当者は割愛)

 学級担任はA子,B子,C子が少しづつすべてに意欲的になっていく姿を感じとることができた。

ふり返って みると,かたい顔をして生徒たちに対していたが,今はお互いに笑顔でいることができる。
 頭ごなしに注意するのではなくA子らの心をわかろうとする姿勢が通じ,彼女たちを成長させたのだと思います。
 また,先生方がいつも関心を持ち,A子らのちょっとしたしぐさなどがほめられたことが,自信につながったのだと思います。
 学習では,ていねいに説明を加えたり,・分かるところから取り組ませたりして励ましたことが,すこしづつ意欲につながったと思います。
学校でも,家庭でもじっと見ていてくれるので存在感があり明るくなりました。多くの先生方の一致した協力と熱意によってA子らばかりでなくクラスのみんなが明るくなりました。



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