福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -019/038page

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プロジェクト研究報告

学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究


_自己啓発を促す校内研修のあり方・すすめ方_


(その1)

学校経営部


1.はじめに

 今回から4回に分けて,現在当部で進めている上記主題によるプロジェクト研究内容を解説してみます。第1回目(91号)は「研究の動機・趣旨について」,第2回目(92号)は「調査研究結果と実践課題について」,第3回(93号)では「改善充実策一試案内容1」,第4回(94号)は「改善充実策一試案内容2」としてまとめてみます。いずれも,すでに各校に配布した「研究紀要」の概説です。多くの先生方に知っていただき,既研究紀要内容を参照し,各校でご活用願えればと思い再掲しました。(他部についても同様です)

2.研究の動機と趣旨について

校内研修(共通主題による共同研究)については,現在県下ほぼ100%実施しています。これは,「今日の多様化する社会・児童生徒を前にしての学校教育では,それに対応するため研修が必要であり,しかも効果を上げていくためには,全職員協働体制・態勢で推進していかなければならない」という考えや意識が,各校各先生方に徹底しているからと思われます。しかし,現場の先生方の声を集約した「予備調査」では, 1.(丸囲み)自校の教育課題解決改善のための研修、2.(丸囲み)協働意欲に支えられた研修、3.(丸囲み)日々の授業に結ぴつく研修、4.(丸囲み)教師も子どもも共に向上が確認できる研修一この点に問題 があり,現状においては「質的充実と活性化が必要である」ということでした。

 そこで,当学校経営部では,先生方個々人の研修に対する自己啓発(教師の自己教育カ)を共同研究の中でどう高めていくかを課題として,「自己啓発を促す校内研修のあり方・すすめ方」を究明することが現場の二一ズに応える研究になるものと考え上記の主題を設定したわけです。

 それでは,各先生方は校内研修を推進する中でどんな場合に自己啓発が促され,意欲的になるのでしょうか。研究にあたってその必要条件を考えてみました。次のとおりです。


・個人の課題意識・改善意欲,・集団の成員自覚と協働意欲,・成員間の信頼関係・協働態勢,・希望や適性が生かされた組織体制,・到達が明解な研修推進計画の樹立,・推進上の共通理解と成果の共有化,・実質的な研修時間の確保と内容の累積活用,・リーダーによる刺激と適切な指導助言,・新しい知識・情報の導入提示と活用,・全員で計画,・実施・評価がなされ,教師も児童生徒も共に向上していることがわかる実質的な研修・・等

 また本研究においての「校内研修」の考え方を次の2点におさえてみました。次のとおりです。

1(丸囲み) スクールフォーカスト研修 (自校の教育課題に焦点をあて,その解決改善のために授業を中心にあらゆる方策を考え出し,協働で推進される共通主題による共同研究)であること。2(丸囲み) マネージメントサイクル研修 (P-D-Sを通して形成的・総括的評価がなされ,研究内容が累積活用されて当該年度(1年間)で課題の解決改善がなされる主題研究)であること。

 つまり本研究は, 「自己啓発を促す校内研修の組織体制・意識態勢・企画運営はどうあったらよいか」に視点をあて,「学校の経営過程における現職研修のあり方」を追求した研究 といえます。

 3.おわりに

 次回は,「調査研究結果」から浮かび上がった問題点,その要因,改善の方向としてまとめた考察内容について紹介してみたいと思います。


(文責 三津間 安宏)



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