福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -020/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

プロジェクト研究報告

基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究


(その1)

学習指導部


1.研究のねらい
本研究は,学習指導の改善の視点から,個性重視の原則に立ち基礎的・基本的な内容を身につけさせる過程を通して,更にそれを基盤としながら一人一人の個性を生かし,伸ぱす学習指導の存り方を追究しようとするものである。
2.第1年次の研究 (昭和62年度)
「基礎・基本」と「個性」に関する文献研究をもとに理論研究を進め,調査表を作成して教師対象の実態調査を行った。その結果,個人差に応じた指導の必要性や一人一人の「見方や考え方」を」大切にする指導の重要性が明らかにされた。
3.第2年次の研究 (昭和63年度)
 研究仮説を設定し,3教科で実践研究を行った。
(1)「基礎・基本」,「個性」とそのかかわり
 基礎・基本は学習指導における基礎的・基本的な内容ととらえた。基礎的・基本的な内容は,「学習指導要領における教科の目標・内容」ととらえ,更に児童生徒の実態に即して取り扱われる「教材の価値」を含むものとした。
 個性は,児童生徒一人一人の持っている「よさ」としてとらえた。これはどの児童生徒にもかけがえのない特性として見いだされるものである。
 基礎的・基本的な内容が定着し,一人一人の「よさ」が生かされ育てられていく過程において判断力,表現力,創造力,思考カ等の能カ(これら能力をジェクタビリティと呼ぷ。)が深くかかわりを持つと考える。つまり,基礎的・基本的な内容の定着を図る過程において,把握した「よさ」を生かす場を設定すれば,ジェクタビリティが刺激され,それぞれが相互に作用し合うことによって,基礎的・基本的な内容の定着が図られ,.「よさ」が伸ばされ育てられていくものと考える。
(2)研究仮説と実践研究の方策
 テーマにそった「研究仮説」を設定し,仮説を実践的に検証していくために3教科共通に下表のように「実践への方策」から「実践への具体化の方向」を位置付けて実践に当たった。
 次号から3回にわたり,この手順を受けて「具体的な手だて」を明らかにした研究実践を報告する。
【研究協力校及び検証教科】
 ・福島市立福島第二小学校(国語科)
 ・川俣町立川俣南小学校(社会科)
 ・福島市立吾妻中学校(数学科)
研究仮説
「よさ」を育てる学習指導の基本型

※ジェクタビリティ(Jectability):造語judgment(判断)、expression(表現)、creation(創造),though(思考)のそれぞれの頭文字にーability(能力)を合成したものである。


 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。