福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -021/038page

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プロジェクト研究報告

「情報活用能力の育成に関する研究」一第1年次一


(その1)

科学技術教育部


1.はじめに
科学技術教育部の「情報活用能力の育成に関する研究」について,本号から4回に分けて紹介します。それぞれの内容は,本号(91号)「研究の趣旨と研究計画の概要」,(92号)「基礎調査と情報活用能力の育成プロセス」,(93号)「検証授業の実践と結果」,(94号)「研究成果と今後の課題」となります。
2.研究の趣旨
 情報化が著しく進展している今日の社会では,全体の物的生産力が増大するだけでなく,知的情報量が急激に増え,情報の価値も大きく変動しています。このような社会の変化に対応するために,21世紀を担う児童・生徒たちにとって,情報を主体的に活用するための基礎的能力を身につけることは極めて重要なことになります。
 情報化社会に対応する初等中等教育の在り方に関する調査研究協力者会議(文部省)は,教育課程審議会に対し,1.(丸囲み)情報活用能力の育成,2.(丸囲み)学習指導における情報手段の利用,3.(丸囲み)情報手段を利用した教員の職務の支援・合理化という3つの面からの参考資料(素案)を提示しています。
 科学技術教育部ではこれらのことを踏まえ,情報化に主体的に対応できる能力を育成する具体的な方策の追究を目指して,この研究主題を設定しました。研究の基本的な視点をまとめると,次の様になります。
(1)21世紀を担う児童・生徒たちを健やかでたくましい人間に育てるために,自己教育力はもとより,その源となる情報活用能力を十分身につけることは,一人問本来の生き方の探求や社会の発展のための原動力になるものとして極めて重要である。
(2)学校教育において,情報活用能力の育成に本格的に取り組む必要がある。その際,来るべき情報化社会に埋没したり,自己を見失ったりすることのないように,情報化の光と影を明確に踏まえ,新しい情報手段が持つ人間社会に貢献できる部分を十分引き出しながら,影の部分を補う配慮も必要である。
(3)学校現場で情報機器をどのような場面でどう使うか、また,どのよう・に取り組めぱ情報活用に関する資質・能力を育成できるのか等を総合的に検討し,科学的な裏付けに基づく具体策を明らかにしていく必要がある。これらのことを基に,昭和63年度から2年計画で研究の緒についたものであります。
3.研究計画の概要  前述した協力者会議の素案に基づいて,情報活用能力を「情報及び情報手段を主体的に選択し活用していくための個人の基礎的な資質」と定義し,この中の「情報」「情報手段」「基礎的な資質」の三つの用語に関する理論研究やこれらの構成要素の定義づけから着手し,次のような計画で研究を推進しました。
図
4.おわりに  次号(92号)では,すでに述べたように「情報活用に関する基礎調査」の結果と・「情報活用能力の育成プロセス」を作成するまでの経過を中心に報告する予定です。(文責峯島和彦)

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