福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -002/038page
特別寄稿
学校としての登校拒否対応の基盤
東京都世田谷区総合教育相談室専門委員
緑 川 尚 夫
1.学校は登校拒否にどう対応するか
登校拒否の児童・生徒をかかえた担任の悩みは多様であり,深刻である。登校拒否の原因は何か,担任や友だちが迎えにいっても会ってくれない,学校に来てしまえば,いつもと少しも変わらないのに……,進級や卒業についてはどう考えたらよいのか,有効な指導法はないのか,等々と尽きることがない。
結論的に言うなら,登校拒否はこうすればなおるという治療法を現時点であげることはできない。それは,登校拒否がその事例によって,症状も原因や指導もまちまちであり,また,様々な要因が複雑に絡み合っているからである。
事実,今日,いろいろな機関や施設で登校拒否への様々な対応が行われているが,そのアプローチの仕方も必ずしも同じではない。
学校
<生徒指導・訓練・訓育等>
相談機関
<カウンセリング・遊戯療法・自律訓練法・行動療法等>
病院
<投薬、精神療法、入院治療等>
施設
<心理療法・カウンセリング・生活訓練・生徒指導等>
しかも,これら諸機関における対応の仕方とそれぞれの効果との関係を明らかにすることも難しいと言わざるを得ない。それぞれの機関において,成功例もあり,失敗例もあるというのが現状である。むしろ,成功するかしないかは,治療法の違いというよりも,事例の特質,担当者の臨床経験や熟達度によるものと考えられる場合が少なくないのである。
したがって,学校における効果的指導法についても,現時点で決定的コメントを行うことはできないといえよう。むしろ,病院や専門の相談機関での対応と同じレベルでの対応は,現在の学校教育の課題の多様化の中では不可能であり,また,組織的にも無理といわなければならない。しかし,他方,登校拒否児童生徒が年々増加する傾向の中で,学校でこそやらなければならない,あるいは学校でしかできない登校拒否への対応上の課題があることに'着目する必要があろう。
結論を先に述べるならば,それは登校拒否の早期発見と初期対応及びそれらを効果的に進める基盤としての予防的な対応,児童生徒の精神健康を高める指導の充実である。
2.登校拒否児童生徒にみられる性格特性
前述の通り,登校拒否の原因や背景を一口に述べることはできない。同じように登校拒否の児童生徒にみられる性格特性を結論的に述べることは危険である。その危険性を念頭におきながら,あえてまとめてみると次の通りである。
・自己中心性が年齢不相応に強い
・耐性も年齢相応に育っていない
・社会性(社会的常識,共同意識,協調性,責任感)が身についていない。
・幼稚性が強く,情緒的に未成熟である。
・敏感で傷つきやすく,他方,プライドが高く,真面目な面がみられる。
・消極的で,ひっこみ思案
・その他
いうまでもなく,これらの性格特性のすべてがすべての登校拒否児童生徒にみられるというものではない。
しかし,ここで注目しなければならないことは,これらの性格特性は,登校拒否児童生徒にのみ,みられる傾向ではなく,以前と比べて今日の児童