福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -006/038page
(3)実験方法の例(上図参照)
1.高さと位置エネルギー
右図のように,ワッシャーを数枚シリンダーにとりつけ,高さを10pごとに,10〜100pまで変えて自由落下させ,ピストンの移動距離を測定する。同一条件で3回くり返してその平均値を求め,測定値とする。
2.重さと位置エネルギー
高さを一定にとり,ワッシャーの数を0〜9枚まで変えて自由落下させ,その時のピストンの移動距離を測定する。
●注射器は底辺部の板目表紙をつけて約10gとなる。
3.摩擦力の測定
台ばかりの上に注射器を置き,上から急激に押したときの台ばかりの最大の目盛りを読む。大体2〜3s重となる。
(4)指導法とその留意点
1.この実験器は教師が実物を用いて,そのつくりと使用法の概要を簡単に説明した後,生徒一人一人に自作させ,実験させるようにする。
2.落下させる注射器のピストンの移動量を測定するときの基準をどこにとるか確認しておく。
3.使い捨てのプラスチックの注射器の使用は,ピストンのゴムが劣化し,硬くなるので,なるべく1回限りとしたい。
4.測定値のグラフはピストンの弾性により,原点を通る直線とならないで,少し上か右に平行移動したグラフになるときがある。理由を説明し修正させると良い。
2.中学校理科第一分野「エネルギー」教材『プラスチック凹型レールを用いた運動エネルギー実験器』
(1)背景とねらい
1.物体の運動エネルギーは,その質量に比例し速さの2乗に比例して大きくなる。特に「速さの2乗に比例」していることは日常生活の中で多く遭遇しているのに気付かないことが多いが,交通機関の利用時などの今後の生活に多く関わることがあるため,十分理解させておきたい。
2.現在の方法は次のような欠点が多く,あまり活用されていない。
・台車を木片等に衝突させたとき,一直線に移動することは非常に少なく,移動量の測定が困難である。
・ベルタイマーと紙テープによる台車の速さ測定は煩雑で実験に非常に時間がかかる。