福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -007/038page

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3. そのため,もっと身近な素材を用いて安価に教材を自作するとともに,実験時間の短縮を図るための新しい実験法を次のように工夫した。

◎ プラスチック凹型レール(1本100円)をつけた斜面台をつくり,衝突させる物体にビー玉を用い,被衝突物体に木製丸棒を用いた実験装置を製作する。

◎ そのとき,ビー玉も木製丸棒もレール上を動かすようにし,直線的に移動させて測定を容易にする。

◎ 斜面台に,ビー玉と木製丸棒を衝突させる基準点から自然数の2乗の距離を単位とした目盛り板(速度目盛り)をつけ,ビー玉をその目盛りに合わせてレールにそってころがすと,ビー玉は斜面台の基準点を通過するとき,自然数の比の速度で通過する。このことによってベルタイマーは不要となり,実験の単純化と,実験時間の短縮ができる。

◎ ビー玉の衝突による木製丸棒の移動量から運動エネルギーの大きさを容易に求めることができる。

(2) つくりと使用法(下の図を参照ください。)

1. この実験は絶対安全であり,比較的学習の見通しもつきやすいため,生徒一人一人に主体的に取り組ませて,レポート報告させるとよい。また,そのことによって生徒の自己教育力を高めるようにしたい。

2.教師はこの実験器を用いて簡単な演示実験と説明をしてから,生徒自身に創意工夫をもって自由に,主体的に取り組ませる。このとき,できれば,速度目盛りは生徒自身に作らさせたい。

3. なお,「速度目盛り板」の意味は,特に中学校の生徒には言葉だけでは理解が困難であるので斜面台と台車を用いて演示実験をし,距離の2乗にとってころがすと,基準点において速さが自然数の比になることを知らせておくとよい。

4. 一直線の斜面台を用いるため,ビー玉が一度衝突した後,再度落下して衝突するので,基準点に紙テープのストッパーをつけておく。

5. ビー玉のもつエネルギー(ビー玉の速さ,重さによる)と木製丸棒の抵抗値に可容範囲があり,大きく異なるとビー玉が横に飛ぶことがある。また,レールの斜面角度が大きすぎると実験可能の範囲がせまくなる。

 以上の二つの自作理科教材は多少の問題点もみられるが,つくりと使用法が非常に簡単であり,探究的に法則を求めさせることができるため,中学校の学習に十分活用できると思われる。



図


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