福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -008/038page
所員個人研究 一(学校経営)
県内公立小・中学校の現職教育研究主題からみた
本県の教育研究の動向について
学校経営部 小 島 長 三
1. はじめに
平成元年度の県内公立小・中学校の現職教育研究主題が出揃った。(「所報ふくしま」91号別冊)
この研究主題が出揃うのを今年は例年になく心待ちにしていた。それは,今年度で本主題の5年問のデータが集約されることもあるが,(その一部は85号に掲載)それにもまして「教育改革実践元年」といわれる今年度の各校の研究主題に強い関心を持っていたからである。
学習指導要領の改訂は,各校の教育研究内容にも大きな影響を与えることは必至である。
新学習指導要領は小学校は平成4年度,中学校は平成5年度より全面実施される。
すでに各校では,全面実施に向けて様々な準備を始めていると思う。新学習指導要領の研究もその1つである。移行措置に伴う教育課程の改善,そのための実践を通した内容研究がこれまで以上に活発になることが予想される。このような予測から,各校の研究主題にどんな変化が表れてきたかをさぐることが今回の意図である。
また,改訂の基本的なねらいにみられる「心の教育」「自ら学ぶ意欲」「個性化」などのキーワードと,各校の研究主題にはどのような関連性があるかなどについても注目したいと思う。
研究主題という小さな窓から本県の教育研究の動向をさぐろうとするのはかなり冒険的だが,以下,報告を兼ねてその概要を記す。
2. 研究領域の動向 (1) 小学校
昭和60年度 昭和61年度 昭和62年度 昭和63年度 平成元年度 順位 研究領域 主題数 比率(%) 順位 研究領域 主題数 比率(%) 順位 研究領域 主題数 比率(%) 順位 研究領域 主題数 比率(%) 順位 研究領域 主題数 比率(%) 1 国語 133 23.4 1 国語 129 24.l 1 国語 128 23.2 1 算数 128 23.2l 1 算数 124 22.5 2 算数 109 19.8 2 算数 114 20.7 2 算数 110 20.0 2 国語 119 21.6 2 国語 115 20.8 3 学習全般 59 10.7 3 学習全般 51 9.3 3 学習全般 56 10.2 3 学習全般 49 8.9 3 学習全般 68 12.3 4 道徳 34 6.2 4 道徳 40 7.3 4 道徳 44 8.0 4 道徳 47 8.5 4 道徳 42 7.6 5 理科 31 5.6 5 体育 33 6.0 5 体育 37 6.7 5 特別活動 37 6.7 5 特別活動 31 5.6 5 体育 31 5.6 5 特別活動 31 5.6 6 特別活動 34 6.2 6 体育 31 5.6 6 体育 29 5.3 7 特別活動 26 4.7 7 理科 30 5.4 7 理科 33 6.0 7 理科 30 5.4 7 理科 24 4.3 8 生徒指導 25 4.5 8 図画工作 19 3.4 8 図画工作 15 2.7 8 社会 15 2.7 8 社会 18 3.3 9 図画工作 15 2.7 9 社会 17 3.1 8 社会 15 2.7 9 図画工作 14 2.5 9 図画工作 16 2.9 10 社会 13 2.4 10 生徒指導 14 2.5 10 教育機器 10 1.8 10 教育機器 11 2.0 10 生徒指導 13 2.4
※比率は、昭和60〜62年度は研究主題総数551主題、昭和63〜平成元年度は同じく552主題に対する研究領域の割合最も新しい平成元年度のものを中心にみてみたい。63年度との比較では,主題数及び比率の増減,「生徒指導」の3年ぶりの10位以内返り咲きを除いては,全く順位に変動はない。
依然として「国語」「算数」の比率が高い。「学習全般」にも国語,算数が含まれていることを考えると,上位3領域の比率合計は約56%となる。実に県内小学校の半数以上というか2校に1校強が,「国語」か「算数」の研究を実施していることになる。このことは,<表1> でもわかるように,ここ5年問全く変わっていない。
ただ異変としては,これまでずっと1位を保ってきた「国語」が,63年度から2位に転落し,「算数」と入れかわったことである。しかも「国語」は年々減少傾向にある。「算数」の増加を算数指導の強化とみるならば,本県児童の学力実態と関連があるのか。
それにしても研究領域として「国語」「算数」