福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -009/038page

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が多いということは,小学校における基礎教科として各校が力を入れていることの表れとも考えられ,本県小学校教育研究の特色とも言えよう。

全体傾向としては,年度によって多少の順位移動はあったが,大きな変化はみられない。このような状態は今後も続きそうである。

(2) 中学校
<表2>県内中学校の研究領域の推移
昭和60年度 昭和61年度 昭和62年度 昭和63年度 平成元年度
順位 研究領域 主題数 比較(%) 順位 研究領域 主題数 比較(%) 順位 研究領域 主題数 比較(%) 順位 研究領域 主題数 比較(%) 順位 研究領域 主題数 比較(%)
学習全般 148 59.4 学習全般 147 59.3 学習全般 147 59.5 学習全般 158 64.0 学習全般 168 68.9
生徒指導 41 16.5 生徒指導 44 17.7 生徒指導 40 16.2 生徒指導 25 10.1 生徒指導 18 7.4
特別活動 25 10.0 特別活動 24 9.7 特別活動 23 9.3 特別活動 24 9.7 特別活動 16 6.6
道徳 3.2 道徳 11 4.4 道徳 13 5.3 道徳 16 6.5 道徳 12 4.9
保健体育 1.6 保健体育 1.6 教育機器 1.2 保健体育 1.2 教育機器 2.0
                国際交流 1.2                

・比率は、昭和60年度は、研究主題総数249主題、昭和61年度は、同248主題、昭和62〜63年度は、同247主題、平成元年度は、同244主題に対する研究領域研究領域の割合

 中学校では,その性格上「学習全般」が圧倒的に多くなっている。しかも63年度からは増加傾向にあり,平成元年度は主題総数の約69%に達した。

 これに対して逆に「生徒指導」が63年度から急激に減少しているのが特色である。生徒指導上の問題は表面的には沈静化の様相をみせているが,実際にはまだまだ問題があるようで今後も地道な研究の継続が望まれる。

(3)全国との比較  <表3> 全国と本県の研究領域の比較
全国 福島県
順位 研究領域 主題数 比率(%) 順位 研究領域 主題数 比率(%)
生徒指導 518 5.5 学習全般 236 29.6
特別活動 455 4.8 算数 124 15.6
国語 445 4.7 国語 116 14.6
体育 443 4.7 道徳 54 6.8
教育課程 417 4.4 特別活動 49 6.2
学習指導 353 3.7 体育 31 3.9
道徳 340 3.6 生徒指導 29 3.6
理科 325 3.4 理科 24 3.0
同和教育 306 3.2 社会 18 2.3
10 特殊教育 274 2.9 10 図画工作 16 2.0

 ※「全国は,昭和58年度の全国小・中・高・養9482主題,「福島県」は平成元年度の小・中796主題のデーターによる。

 <表3> は,基礎データが異なるので単純な比較はできないと思ったが,この種の資料が極端に乏しいためあえて表にしてみた。

 本県では教科領域が全体的に多く比率も高いが,全国的には「生徒指導」「特別活動」など教科外の領域が多い。特に意外であったのは全国の10位以内に「算数」が入っていないことである。

 また,本県では馴染みの薄い「同和教育」がかなり多くの学校で研究されていることも知った。

 ちなみに全国調査の11位からは,「算数」「社会」「体力つくり」「学校経営」等が挙がっている。

3.研究のねらいの動向

 (1)小学校

  <表4>  研究主題のキーワード

昭和63年度 平成元年度
順位 キーワード 比率(%) 順位 キーワード 比率(%)
確かな読みの力 11.4 主体性・自主性 12.5
主体性・自主性 10.9 確かな読みの力 11.6
実践力・態度 9.1 意欲 11.6
意欲 8.5 学びとる力 9.2
学びとる力 8.3 表現力 8.7
表現力 7.1 実践力・態度 8.3
問題解決力 5.3 学ぶ喜び・楽しさ 7.4
学ぶ喜び・楽しさ 4.9 基礎・基本 6.0
基礎・基本 3.6 問題解決力 5.6
10 個・個性 3.3 10 個・個性 5.6

 <表4> は,各校の研究主題から研究のねらいを表したキーワードを取り出したものである。

 研究主題の中には,いくつものねらいを含めた長文のものもあり,どれが真のねらいなのか判断に迷うものもあった。多分に主観的ではあるが全体では35のキーワードに分類することができた。

 これをみると,「自己教育力」に関するキーワードが多いことがわかる。自主性や意欲にみられる行動的な姿や確かな力の定着といったものを大事にし,めざそうとしている意図が察せられる。

 また,研究主題の全体的傾向としては「自ら」「一人ひとり」「個」「個性」といった表現が目立って多くなり,指導・研究が個への働きかけを


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