福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -010/038page
重視していることがわかる。各校の新学習指導要領に対する意識がしだいに強くなっている。
(2)中学校
<表5> 研究主胆のキーワード
昭和63年度 平成元年度 順位 キーワード 比率(%) 順位 キーワード 比率(%) 1 意欲 24.7 1 意欲 27.5 2 主体性・自主性 17.4 2 主体性・自主性 17.2 3 学びとる力 12.1 3 学びとる力(学力) 14.8 4 実践力・態度 5.7 4 個・個性 11.5 5 個・個性 5.7 5 基礎・基本 5.3 中学校の場合は,「意欲」が最も多いのが特色である。しかも平成元年度には前年度よりも比率が高くなっている。
また,前年度との比較では「個・個性」が5.8ポイントも上がっているのが特に注目される。
中学校も小学校と同様に個をいっそう大事にした研究を進めようとしていることが感じられる。
なお小・中の合計では,1.意欲,2.主体性・自主性,3.学びとる力の順であった。
各校の研究主題を総じてみると,主題に込められているねらいや願いは,21世紀が求める子ども像である「何ごとにも主体性を持って意欲的に取り組み,個性豊かで実践力のある子ども」に合致している。このことは,キーワードをみれば明らかであろう。研究主題は,学校の児童生徒の実態の上に立ちながらも将来の子ども像を常に追い続けるものでありたい。教育研究は学校課題に焦点をあてたスクールフォーカスト研修を土台に,さらに特色ある研究を推進してほしいように思う。
4.新しい動向
これまでも若干触れてきたが,63年度を境に県内の教育研究にも新しい変化が生じてきた。
それは多分に学習指導要領の改訂によるものであることは明らかであろう。
ここでは,2つの点について簡単に触れる。
(1)生活科
生活科については現在全国で51校が文部省の委嘱を受けて「生活科の円滑な実施に関する研究」を実践している。本県では福島二小がその研究校で,これまで生活科を研究主題に掲げ研究実践している唯一校であった。
しかし,平成元年度には無指定で県中,会津でそれぞれ1校,生活科の研究主題を設定し研究を始めた。内々には研究している学校も多くあろうが,生活科の研究主題を持つ学校は3校に増えた。
生活科については低学年に限られてはいるが,いずれはどの教師も経験するものであり,研究も学校ぐるみの体制で今後ますます盛んになるだろうと思われる。
(2)コンピュータ教育
県内で学習へのコンピュータ活用を研究主題に掲げている学校は現在のところ県北の小1,中1の2校だけである。
しかし,県内でも63年度頃からコンピュータを保有する学校が急激に増えている。昨年度の本県のコンピュータ設置状況は<表6> のようである。
設置率(%) 平均設置台数(台) 小学校 中学校 小学校 中学校 全国 13.5 35.5 2.9 3.5 本県 5.3 12.3 2.9 1.8 まだまだ少ないのが現状であるが,地域ぐるみで積極的に導入を図っているところもあり,今後さらに増えることは確実であろうし,学習指導への活用研究も当然ながら活発になることが予想される。
5.おわりに
改訂のねらいのキーワードの中でも最も重要なものは「国際化,情報化を背景とした個性化」であると言われている。また,新学習指導要領には,「社会の流れを踏まえて学校教育は質的転換を図らねばならない」という切実な願いも込められている。これらを実施し実現するのは教師自身である。
学校現場においては,教師一人ひとりが意識を変革し,新たな教育実践に立ち向かう強い決意と行動が求められている。
学校の教育研究は,教育目標の具現及び学校課題解決をめざすものであることを再認識し,学校が一丸となってねらいの実現に努力したいものである。