福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -020/038page

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プロジェクト研究報告

「情報活用能力の育成に関する研究」一第1年次一


(その2)

科 学 技 術 教 育 部

1.情報活用に関する基礎調査

 児童・生徒たちの学習環境を調べるため,「情報をどこから得ているか」(情報源)と「情報手段をどのように活用しているか」(活用状況)とについて県内全域にアンケート調査を依頼し,小・中・高の各校種ごとに学年別・地域別の分析を行った結果をまとめると次のようになる。

 1.発達段階からみると,小学校中学年(4年程度)頃から,必要な情報を得るための情報手段を自ら選びはじめているようである。

 2.地域的にみると,情報手段の活用については市部が郡部をやや上回っているが,情報源をどこに求めるかについては差がみられない。

 3.映像を利用した情報機器(ファミコン,ビデオ,パソコン等)の使用経験を持つ割合は,各校種ともにかなり高い。(ファミコン等は小学校低学年の児童からすでに使用している)

 4.パソコンを使用している割合は,他の情報機器と比較してかなり低い状況にある。

2.情報活用能力が育成された状態像と評価

 「情報活用能力が身についている子供」とはどのような状態を指すのかを明確にするため,基礎調査の結果を基にして「情報活用能力が育成された状態像」について研究討議を重ね,各目標の要素分析を行いながら,その評価法を検討した。

 本研究における最終到達目標を「高度情報社会に対応できる心豊かで創造的な人問の育成」におき,それを支える三つの上位目標(I〜III)及び12の下位目標(@〜K)を設定し,図一1のように構造化した。この12の下位目標の達成状況を更に明確にするため,学校教育活動を通して育成できるものに視点をあて,達成された状況を5段階で評価した。実際には教師が,観察評価の尺度に用いる図一2の【評定尺度I】と,生徒が自己評価の尺度に用いる図一3の【評定尺度II】を作成し,授業実践前と事後との間の変容を比較した。

図−1 情報活用能力育成目標の、構造
図−2 教師の観察評価 (評定尺度I)
図−3 生徒の自己評価(評定尺度II)の例・・・中学校用
1.あなたは、何か分からないことがあったとき,そのための情報を自分から進んで収集していますか。(それそれ5段階の中から回答する)
2.あなたは,収集したものの中から.必要なものをより分けることができますか。
3.あなたは、調ぺたことがらを、分かりやすく図や表にまとめていますか。
4.あなたは、何かを解決しようとするとき,いろいろな情報を基にして.新しいアイディアを思いつくことがありますか。
5.あなたは、情報!を相手に分かりやすく、的確に伝えることができますか。
6.あなたは、日常生活の中でコンピュータがますます身近なものになってくると思いますか。
7.あなたは,コンピュ一夕の進歩か人間に及ほすマイナス面の影響を考えることがありますか。
8.あなたは、テレビや会話などに出て来る情報の価値や重要性について考えることがありますか。
9.あなたは、他人の作ったものを無断で使用したり、自分の出した情報による影響を考えたりするなど,迷惑をかけない行動がとれますか。
10.あなたはコンピュータの技術がいろいろな方面に利用されていることを知っていますか。
11.あなたは、日常生活の中でコンピュ一タを利用すると.生活がど'のように変化するか知っていますか。
12.あなたは,コンピュータを使うことができますか。

(文責 峯島 和彦)


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