福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -028/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

■アイデイア紹介■

少ないコンピュータの有効な活用法

一市販アプリケーションソフトの活用を工夫して一

福島市立福島第四小学校教諭   大 内 宏 典

1.はじめに

本校は,福島市教育委員会の研究指定を受け,昭和62年度から学校教育におけるコンピュータの活用について,研究を進めている。

学校教育へのコンピュータの導入は,時代の要請でもあり,それぞれの学校において積極的に行われているが,ソフトウェアの整備が決して十分ではなく,現場を悩ませていることも事実である。また,一台あるいは多くても数台のコンピュータが入ってきたという学校も多く,少ない台数のコンピュータをどう活用すべきかというのも,また悩みの種ではなかろうか。

そこで,本校の実践の中から,特にプログラムを組む知識がなくとも,少ないコンピュータを有効に活用できる事例を,いくつか紹介したい。

2.算数科における図形ソフトの活用例

市販されている図形ソフトには,自由に描いた図形を拡大や縮小するだけでなく,ある点を中心に適当な角度を回転させたり,あるいはある線を軸として対称な位置に移動させることができるものがある。本事例で用いた図形ソフトは,原図を残すことや残さないことも自由であり,さらに色や模様をつけたりすることができる。(注1)

これらの機能は,「拡大図と縮図=6年」や「対称な図形=6年」などの学習に活用することが可能である。

「拡大図と縮図」の学習では,方眼の上にかかれた原図の三角形を自由に拡大したり,縮小したりしながら,できた三角形と原図の三角形の大きさや形をくらべることにした。

コンピュータを用いることによって,原図を残したまま図形の大きさを連続的に変化させることができ,その結果できあがった図形の方眼を数える作業を通して,拡大図の概念や縮図の概念をとらえることが容易にできた。導入時における活用法としては,有効であると思われる。

算数科における図形ソフトの活用例

その後の時間においても,自分たちがノートにかいたある図形の拡大図や縮図が正しいのかどうかを確かめる手段として,教室に持ち込まれた一台のコンピュータが活用されている。

また,このソフトを用いて,合同な正方形や長方形をすきまなく並べることができることを,コピー機能などを使いながら確かめることもできるし切り取った部分を平行移動するという機能を用いると,平行四辺形の求積方法へのヒントを得たり確かめをしたりすることができる。

3次元のグラフィックソフトを用いると,直方体などの立体を,正面,上面,側面と角度を変えて見たり,それらを同時に同一画面に表示することができる。さらに,裏側に隠れて見えない面や辺の位置などを,透視して表現させることもでき,立体の概念を理解したり,確かめたりするのに効果的である。(注2)

算数科では,具体的な操作活動を通して概念を抽象化し,一般化していくことが大切である。児童の思考の組み立てという面から考えると,コンピュータを具体的な操作活動に代替えすることは危険であるが,具体的な操作活動から抽象化,一


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。