福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -031/038page
自己をしっかり見つめて
一初級カウンセラー講座に参加して一原町第三中学校教諭 三本杉祐輝
過日,卒業生が学校を訪ねてきて,高校の話をしてくれましたが,その成長ぶりには,目をみはるものがありとてもうれしく感じました。しかし,この子供達の中には,在学中,集団にうまく適応できず悩んだ者もいました。
その時に,移動教育相談等でお世話になった事もあって,このカウンセラー講座を受講させていただくことになりました。
この講座での感受性訓練では,自分や相手の,また,集団の気持ちを読みとる訓練の必要性を痛感しました。なぜなら,学校では,生徒の発する感情の動きを敏感に察知しなくては,大切な信頼関係を深めることはできないからです。信頼関係には,まず「自己開示をする」,つまり,教師自らが心を解き放つことが必要です。それなくしては,生徒は教師に心を開いてはくれません。心を開かない状態でいくら教育相談をしても効果をあげることは難しいからです。
また,相談面接法では,「受容」,「支持」,「明確化」を演習をとおして学びましたが,「沈黙」への対応がうまくいかず,どうしてもカウンセラーのおしつけになってしまい,「気づき」の状態までいかずに苦労しました。
さらに,「生徒理解」は,目で見る,声をかける,記録をとる,そして生徒に教師自らが体あたりでぶつかるということが大切であること。および,教師自らが自分をしっかりと見つめ心を開くことが,生徒理解の中で最も大切な事であることをこの3日問の研修で学びました。これらを現場での実践に十分いかしていきたいと思います。
最後に,センターの先生方には,この講座にあたって御指導いただき,とても有意義な研修ができましたことを深く感謝申し上げます。
学校カウンセラー講座(中級)を受講して
福島県立喜多方高等学校養護教諭 三橋 玲子
「研修とは,机に向って講義を聞くこと」という固い思い込みのなか,いよいよ研修が始まった。ところが,机もノートも必要ないと言っていいぐらい演習中心の研修が多いのでとまどった。しかも,その研修の一つ一つが終わった後に何とも落ち着きが無くなってくる自分に気づいた。それは,ほとんどの研修が,私自身の内面に問いかけてくる内容であり,また自分自身の未熟さに改めて気づかせるものだったからである。
しかし,実はこれが大切なことだということを知った。それは,種々の技法・療法を学びそれを上手に生かすためには,カウンセラー自身の人間性が影響するからである。また,カウンセラーそれぞれの人間性を土台に自己一致,無条件の肯定的関心,共感的理解といった諸態度が,強く望まれるからである。
以上のような自己への揺さぶりを受けながら模擬カウンセリングの中で受容的,共感的に対応する技法を用いて生徒を援助し指導できる力を身につけてゆかねばならないので,なかなか容易なことではなかった。でも,受講生の中に初級講座で一緒だった方もいて,前期・後期と進むにつれ和やかなムードになった。宿舎に戻ってもカウンセリング演習に余念のない受講生も多かった程だ。
課題の事例研究報告書の作成には,養護教諭としての立場から,担任に協力していくという前提で進めた。挫けそうになったとき,教育センターの先生方のていねいなご指導を受けると,不思議なことに勇気が湧く。これは、初級の時から感じていた。今回も,カウンセリングマインドが豊富に盛り込まれた指導を受け充実した研修となった。
最後に,種々協力していただいた本校の先生方,講師の先生方,特に教育センターの先生方に心より感謝申し上げ,ペンをおく。