福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -004/038page
所員個人研究 −(高校体育)
生涯スポーツ化を図る球技の指導
一バスケットボールの指導内容から一学習指導部 星 和久
1. はじめに
平成元年3月15日に公示された新しい高等学校学習指導要領(以下,新学習指導要領という。)では,わが国における社会の一層の変化を背景に,国民のスポーツに対する期待が大きく変化していることを踏まえて,生涯スポーツの方向を強く打ち出している。もちろん生涯スポーツについては,現行の高等学校学習指導要領においてもその考え方が導入されているが,これまで以上に強調しているのは,その方向への指導が必ずしも十分でないことから,より確実なものにしていこうということである。
そこで,生涯スポーツ化を図る上で最適と思われる球技領域の中で,サッカーやソフトボールとともに生徒に人気があるバスケットボールを取り上げ,その指導内容を精選して生涯スポーツを目指した学習指導について考えてみたい。
2. 新学習指導要領における生涯スポーツ
生涯スポーツをより確実なものにするために,教科の目標に新たに「計画的に運動をする習憤の育成」を加え,直接的な目標として位置づけた。
内容についてみると,生涯スポーツの観点から,生徒の能力・適性などに応じた指導の充実を考慮して,運動領域を7領域に拡大し,体操領域以外は1学年から選択し て履修できるようにした。また球技領域においては,「個の重視」を尊重し,より多様な内容から選択できるように,生涯スポーツとして広く親しまれているテニス,卓球,バドミントン,ソフトボールの4種目を新たに加えた。
3. 球技の取り扱い方
球技種目は生徒間の人気が高く,また生涯スポーツとして卒業後も広く親しまれる可能性が高い。そこでカリキュラム,指導体制,施設・用具など諸条件をできるだけ整え,生徒の希望に応える努力が必要である。
また,新学習指導要領では,個性を生かす教育の具体化である選択制授業を積極的に導入するようになった。これは生涯スポーツを目指す学習指導の方向として,運動種目の特性に深く触れるためには,その運動に十分な時間をかける必要があるという考え方に基づいている。したがって,年間計画においては少種目大単元が原則になるだろうし,単元計画においては運動種目を機能的特性からとらえ,それを学習のねらいや学習の過程,指導に反映させなければならない。
4. バスケットボールの特性とねらい
生徒の立場から見ると,バスケットボールは,集団対集団で勝敗を競い合うゲーム