福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -005/038page

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であるところに楽しさやおもしろさを味わえる運動である。また,バスケットボールの勝敗を左右する大きな要因として働くのは,チームのメンバーが協力し合って攻撃したり防御したりするために必要な集団的技能である。そのため,ゲームにおける集団的技能に強い関心が寄せられる傾向にある。一部の部活動で毎日のように練習している上手な生徒が活躍してゲームに勝ったとしても,チームのメンバー全員の喜びはそれほどでもない。更に,偶然入ってしまったシュートが勝敗を分けても,ゲーム本来の楽しさやおもしろさはあまり味わえない。こうしてみると,バスケットボールの魅力は,やはりチームの一人一人がゲームに参加して,自分の役割を果たし,チーム全員の力の結集で勝利を手にしたときに感じる喜びや楽しさである。

 生徒は,球技の特性やバスケットボールがもっている素晴らしさにひかれて学習を行う。つまり,バスケットボールの楽しさやおもしろさを味わうことが学習のねらいなので,その特性が学習のねらいを導くことになる。また,特性に基づく楽しさやおもしろさそれ自体は,とりもなおさず学習する中味に直接関係をもつものであるから,学習の内容としての意義もある。

5. バスケットボールの指導内容の考え方

 新学習指導要領では,授業で指導すべきバスケットボールの学習内容は,「技能に関する内容」と「態度に関する内容」で構成されており,しかも技能に関する内容は,ゲーム,集団的技能,個人的技能の三項目しか示されていない。.つまり,「何を」「どのように」「どんな順序で」指導するかという中味については,授業を担当する教師の考え方に任せられるようになった。

 このことから,授業担当者は,生徒の能力・適性などに応じて指導内容を決めることを初めとして,「生徒の技能習得状況を踏まえ今最も必要とするもの」そして「指導すればすぐ身につけることができてゲームに生かせるもの」という観点から,生徒の体力・運動能力に応じて創意工夫し,実践指導することが望まれる。

 1.個人的技能ではボールキープカとして,ピボットとボールの動かし方の指導が大切である。ディフェンスがいなければある程度ボールをコントロールできる生徒でも,いざゲームになってディフェンスがつくと,思った所にパスできなくなってしまう。これは初心者の場合,ある段階では誰にでも見られる現象である。初心者は,ディフェンスがつくと両足を床から離せなくなる。またボールを取られまいとしてボールだけを動かすために,その動かし方がボールの振りまわしとなり身体のバランスを崩してしまうからである。そのため,この問題を解決するためには,ピボットとボールの動かし方の初歩的な対人技能を指導しなければならない。

 2.集団的技能ではボール所持者とボール非所持者は何をすればよいかの指導が大切である。ボール所持者は,ディフェンスにマークされていなければシュートし,マークされているなら


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