福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -006/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ばパスしなければならない。このことが,ボール所持者の正しい判断の上にたって,プレーすることができるようになるためには,ボールを持ったら必ずバスケットに向くことを習憤づけることが大切である。なぜならば,ボール所持者がバスケットに向くことによってのみ,自分がディフェンスによってマークされているかいないかを正しく判断することができるからである。しかし,ボールを持ったらバスケットを向くことを習慣づけることは,初心者には難しい。初心者のシュートカでは,比較的遠い位置からではシュートしてもボールがリングまで届かないし,近い位置からシュートしてもなかなか成功しない。そこで,このプレーを生きたプレーとするためには,抜いてドリブルシュートするように指導することが効果的な方法となる。つまり,「ボールを持ったら常にバスケットの方に向いて,自分とリングを結ぷ線にディフェンスがいなければただちにシュートせよ」と指導するのである。このようにすれば,ボール所持者はボールを持てば常にバスケットの方へ向き,少なくてもドリブルシュートできるかできないかが判断できるようになる。その結果,ドリブルシュートができない時,またはディフェンスによってドリブルが止められた時に,他のプレーヤーにパスすべきであるということが理解できるようになる。

 初心者の攻撃技術としては,「あいていればそのままシュート」又は「ドリブルしてシュート」と「あいているプレーヤーへパスしてノーマークの者がシュート」という二つの方法を理解させる必要がある。生徒の技能の習熟の実態を考慮すれば授業においては,それで十分である。

 一方,ボールを所持しない他の4人のプレーヤーは,まず,誰がパスをもらえばよいかを知らなければならない。この判断は,その瞬間の攻防の状態によってしなければならないが,原則的には「ボールより内側にいる者」「ボールの隣にいる者」「ボールに対してよい角度でパスにミートできる者」である。この正しい判断ができるようにするための指導は非常に難しいが,この指導なしではチームワークの向上は期待できない。また,次の瞬間にパスをもらうプレーヤーの動きは,ボールの方ヘパスにミートする動きか,ディフェンスを出し抜いてバスケットの方向への動きのどちらかでなければならない。特に効果的なのは,ディフェンスの動きに対してその逆をつくことである。ボールを所持しないプレーヤーが攻撃に参加する場合は,このような動きでなければならない。

 6. おわりに

 今までのバスケットボールの指導では,教師側で一方的に決めた盛りだくさんの内容で学習活動が展開されるため,本来の楽しさは味わいにくいものになっていた。

 そこで,バスケットボールを,生涯にわたって自分の生活を豊かにするスポーツとして学習させていくためにも,生徒の欲求や現在の技能の程度に応じて,指導内容を精選することが必要と思われる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。