福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -009/038page
3. 研究結果
(1)授業実践の成果
1.パソコンを活用した授業では,児童の集中力が増し,学習課題に対して意欲的な取り組みが見られた。
2.授業でのパソコンの利用のねらいを明確にし,児童の実態に即した学習ソフトを作成して活用することは,学習内容の基礎的・基本的事項の定着を図るのに有効であるといえる。
3.授業後の児童の感想は,「とても楽しく学習できた」とするものが多かった。楽しくできた理由としては,次のようなものがあがっている。
。まちがえても,もう一度やろうとする気持ちになる。
。自分のぺ一スでできるからいい。
。パソコンと話をしているみたい。
。わからないとき,友だちと協力してできる。
。楽しい絵(ドラえもん)が出てきて,とても楽しくなるなど。
これらの感想から,ともすれば冷たい印象を受けがちなパソコンに暖かさを持たせる意味でも,児童の心を引きつけるKR情報(児童の学習行為に対して,教師が承認・賞賛・助言などのことばを掛けること)を工夫することは,たいへん重要であると思われる。
また,「自分のぺ一スでできる」という感想から,一人一人の児童が,いつも自分に合った適切な指導を望んでいることが推察できる。これらのことから,パソコンの持つ機能を生かした授業を,さらに取り入れていかなければならないと考える。
(2)研究全体の成果
1.目標分析によって,指導内容の重点化が図られ,単元指導計画における一単位時間のねらいにパソコンの利用を明確に位置づけることができた。
2.個別学習を図る上から,指導過程の中に「市販ソフトウェァ」と「自作ソフトウェア」を組み合わせて編成することにより,指導の工夫・改善を図ることができた。
3.早く自作ソフトウェアの学習を終え,「市販ソフトのドリルをやってみたい。」という意欲的学習態度が見られた。このことから,教具の一部として活用した自作ソフトウェアは,有効なものであったととらえることができる。
4.ノートに学習の記録が整理され,自己評価で一人一人の学習状況を的確にとらえることができた。