福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -016/038page

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て授業に臨むようになる。動詞や形容詞が拾えるようになると,その下で不気味に語尾を変身させ生徒を悩ませる助動詞が自然と見えてくるようになる。助動詞も最初から28個全部やろうなどという野心はとうの昔に捨て去った。その代わり,「竹取物語なら,けり」「枕草子なら,たり」とピックアップし徹底的に拾い出す。拾った語形を板書し整理してから文法書の活用のぺ一ジに入ると意外と抵抗も少く覚え易いし定着率もよい。また形容詞拾いをした作業が,覚えにくい「べし・まじ」といった助動詞の活用に生きてくる。苦労は必ずや報われねばならぬ。「やった!わかった!」という気持を大切にしたい。

4. 笑う

 どうせ覚えねばならぬのなら,楽しく笑って覚えたい。暗記といえば文法と文学史,そこで語呂あわせを試みた。動詞の活用の種類9種類も,「段」のつくものをまとめて「四 段上下一二段 」変格活用はこれらの動詞とは「 カサナラ 変」(重ならへん)と大阪弁で言うのである。たいてい二,三回で暗記ができる。助動詞も接続別に,未然形なら「(お)じ・り・む・ず・むず」(お尻ムズムズ)終止形なら「(お)らし・らむ・べし」(オラ知らんべし)という次第。文学史でも例えば「 土佐→蜻蛉→和泉式部→紫式部_更級 」と日記が続いて登場するのを,それぞれの最初の文事をとって「土蜻・和紫・更級」(蜥蜴・鷲 ・晒しな→トカゲとワシをさらしておけ)と暗記するのである。卒業生が残していった語呂あわせを一つ紹介する。「 日本 霊異記→ 今借 物語集→ 宇治 拾遺物語」といった説話文学の流れを,「 日本 では ウジ (蛆)がわく」。これには参った。

5. おわりに

 私は季節の節目(第1回めの授業・衣更え・祭事・長期休業の前後・行事・新年など)や新しい単元に入る時に「ことのは」と名付けた国語通信を出している。授業や教科書だけでは味わえぬものも大切にしたいからである。内容は補助教材的なものが多いが,春夏秋冬それぞれに和歌や俳句を選び出し味わったり,読んだ本の紹介や生徒の感想文や作品の発表の場にしたり,時には定期考査の予想までのせたりもしている。授業というのはむずかしいものだとつくづく思う。授業を成立させる要因をいかに多く持つか,いかにうまく使うか,まだまだ問題は山積みである。読んで,拾って,笑って,元気のある生き生きとした授業をめざし,これからも工夫を重ねてゆきたいと思っている。

イラスト



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