福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -027/038page
7.本研究の主題である「教職員の経営参加意識の変容」については教育目標改訂作業前と改訂作業後にアンケート調査を実施し,それを比較検討することによって研究の妥当性を考察する資料とした。
調査 I 「教育目標についての意識の変化」(二次調査/一次調査) 観点 ○ × よくわからない 教育目標設定の手順 1.教育目標設定の意義について全職員の共通理解がはかられているか 100.0
44.40.0
11.20.0
44.42.目標設定に当たって、国・県・市の方針が生かされているか 100.0
22.20.0
0.00.0
77.83.学校や地域の実態についての調査資料を生かす工夫がなされているか 100.0
44.50.0
22.20.0
33.3
調査 II 「教育目標についての意識の変化」(二次調査/一次調査) 関心がある 100.0/22.2. 方針作成に参画したい 88.9/22.2
調査 III 「学校経営参加意竈の意識〜自由記述による〜」
作業前は教育目標に対してあまり関心がなかったが、今回の作業によって本校の実態を再認識し、今後の教育活動の中で教育目標を生かしていきたいと考えるようになった。(25才・女)
教育目標をより具体的にはっきりとしたイメージでとらえることができるようになった。また、教育目標を自分たちのものとして身近に感じることができるようになった。(29才・男)
改訂前は単なる飾りのようだった教育目標が改訂作業をとうして自分自身の教育活動と直接結びつく身近なものになったような気がする.指導上,つまづいた時の最大のよりどころとなると思う。(29才・女)
学校経営は、別の離れた世界のように感じていたが、改訂作業をとうして、実際に携わるのは自分たちなんだと強く自覚するようになった。また、これまで漠然としていた教育目標が、いくらか明らかになったように思える。(32才・男)
改訂作業を通して、じっくりと教育目標について考えることができた.(33才・女)
教育目標が身近なものとして意識できるようになり、さらには学校経営の根幹に多少なりとも直接的に関わったことで、自信を持って積極的にこれからの教育活動ができそうである.加えて、責任の重さを実感している.(34才・男)
学校経営について、広い視野にたって見ることができるようになり、その内容をより具体的に理解することができるようになった。(41才・男 )
地域の実態を十分に踏まえたうえで指導にあたることの必要性を強く、感じるようになった。(50才・男)
教育目標の改訂では、見直しから改訂に至るまでの過程が大切であると思われるが、この度の改訂作業は、地域や生徒の実態把握・分析および教育の動向をとらえたうえで学校課題を設定し、組織を生かしながら、全職員の共通理解によって新教育目標が設定された。このことは、今後の諸指導に自信をもってあたられるものと思う。(55才・男)
(2)考察 (抜粋)
1.共通理解を図るための会議の設定と運営については,学年部会の位置づけが有効にはたらき,深まりのある,しかも円滑な協議ができた。
2.小規模校で,しかも若い職員の多い本校の場合は,特に職場の好ましい人間関係の醸成に努めるとともに,公式,非公式な場において,職員を「育てる」ことを目的とした適切な指導助言により,職員のモラールの向上が期待できるのではないかと思われる。
3.保護者に対するアンケート調査の回収率は100%であった。これは学校教育に対する保護者の期待が大きいことのあらわれではないかと思われる。この期待にそうべき努力が今後の教育活動に是非必要である。
6.今後の課題設定された教育目標の具現化を図る手だてを講ずる必要がある。その主な事項として次のことが考えられる。
(1)学校教育目標を詳細化する。
(2)学年・学級の目標に位置づける。
(3)教育課程の編成と展開の中に具現する。
(4)到達目標と評価基準を作成する。
以上の外,教育目標具現化のための課題は多い。その課題を探ることも今後に残された大きな課題のひとつである。