福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -028/038page
研修者研究報告 _(教育研究法小)
社会的事象の意味を自らとのかかわりでとらえられる歴史学習
郡山市立大成小学校教諭 近 内 晴 夫
1.研究の趣旨
(1) 研究の動機とねらい
社会科興味調査では,「好きでもきらいでもない」児童が多い。「きらいな方」とする 児童は,調べるの平成元年4月がいやだから,と答えている。
これまでの学習を振り返ってみると,課題をつくり出したり,課題解決に立ち向かったりする能動的な姿勢に欠けていたので,課題に関する意識調査をしてみた。
この結果から,身近な地域教材の活用を通して,自ら教材に問いかけ,課題意識を高めることにより,社会的事象の意味を自らとのかかわりでとらえられるだろうと考えて本主題を設定した。
(2) 問題点
○自ら教材にはたらきかけながら課題をつくり出していく力が弱い。
○資料の選択活用能力に欠ける。
○歴史上の人物や文化遺産を自分とのかかわりでとらえることができない。
(3)原因
○豊かな世の中になり,居ながらにして必要なモノや情報が手に入ることで,社会的事象に自らはたらきかける能的な生活習慣が失われてきている。
○教師側が一方的に課題を与えたり,意図する課題に児童を引き寄せてしまったりする傾向があり,個性や能力に応じた追究を阻みがちだった。
○歴史的事象を身近に引き寄せるための地域素材の開発が不十分であり,また,地域教材の単元計画への位置づけが不明確だった。
2. 研究仮説
歴史学習において,地域教材を取り入れ,ひとり追究と集団による追究の相互の高め合いをねらう学習ノート「追究の旅」を活用させれば,社会的事象の意味を自らとのかかわりで考えられる児童が育つであろう。