福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -004/038page
所員個人研究ー(教育工学)
学年協力による学習指導法の改善
ーコンピュータ利用によるS-P表分析を通してー
学校経営部 菅野 由信
1.研究の趣旨と構想近年における本県教員の年代別構成は、20代・30代が多く、40代前半が極端に少ないという特徴がみられる。各学校においては、指導的立場の教員が不足し、経験の浅い教師に対する指導や組織としての指導力の向上が問題になってきている。
教員の指導力の向上については、現職研修体系の整備等、意図的計画的な方策かとられているが、日常の実践的、具体的な指導や研修は各学校の実態に合わせて行われているのか実情である。そこで、本研究では日常の教育活動を支える学年組織に焦点をあて学年の協力体制を生かした指導法の改善を試みることを考えた。
研究対象とした学年の実態は以下の表の通りである。
1学期総括的評価正答率と知能との相関 クラス
/
テスト1 2 3 4 平均 相関 A
B
C
D88.0
66.8
73.6
82.8
80.4
70.1
59.6
80.381.3
57.9
50.7
60.095.1
78.6
77.5
87.086.2
68.4
65.4
77.50.84
0.88
0.30
0.86高い相関
高い相関
低い相関
高い相関平均 77.8 72.6 62.5 84.6 74.4 最高 88.0 80.4 81.3 95.1 86.2 最低 66.8 59.6 50.7 77.5 65.3 益 21.2 20.8 30.6 17.6 20.8 A一算数主任(経験6年) B一経験5年 Cー新採用2年目 Dー学年主任(経験10年)
資料からわかるように、同じ学年でも経験の豊富な教師のクラスと経験の浅い教師のクラスでは達成度や学習内容の定着の安定度が違う。そこで問題点を次のようにとらえ研究を進めることにした。
1.校内組織が若年化し、指導力の低下かみられる。
2.年代別構成からみると二極化の傾向がみられ、指導的立場の中堅教員が少ない。
3.共同研究の内容が授業実践までの段階に集中し、事後の分析や考察、次への生かし方研究が不十分である。これらの問題の解決のために、以下のような手だてを構想した。
(ア) 毎時の授業の結果について形成的テストを実施する。
(イ) テストの結果をコンピュータによりS一P表分析する。
(ウ) 分析の結果をもとに学年で事後研究を行う。
(エ) 検討考察の結果をもとに指導法の工夫改善を行う。