福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -007/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

所員個人研究ー(高校数学)

3次元グラフィックスの理論と実験

学習指導部 辺見 広一


I 研究の趣旨

数学の授業にコンピュータを活用する方法は、個別学習やドリルのためのCAIの他に、シミュレーション的な使い方が有効である。3次元グラフィックスの市販されたソフトを動かしてみると、そのプログラムはどうなっているのだろうと思わずにはいられないほど美しく、感激的なものが多い。市販のシミュレーションソフトレベルのプログラムを組むのは容易ではないし、苦労して自作ソフトを開発する時代ではないが、3次元グラフィックス理論の奥の深さには研究心をあおられる。これらのソフト開発には莫大な時間とエネルギーを要するが、その理論だけでも触れられるならば、3次元空間における物体をより身近なイメージとして捕らえることができるようになる。幸いそのグラフィックス理論は、高等学校数学の既習の知識レベルで十分理解できるものであり、教材研究として数学的価値が高いものが含まれていると考えられるので、この主題を設定した。

II 研究の概要

1.シュミレーションプログラムの内容
3次元空間におけるモデルを、次の項目(1)〜(10)の回転や移動を可能にする理論と実験のシミュレーションプログラムを作成する。

(1)平行移動 (2)X軸回りの回転
(3)Y軸回りの回転 (4)Z軸回りの回転
(5)X軸→Y軸回りの回転
(6)Y軸→X軸回りの回転
(7) Y軸→X軸→Z軸回りの回転
(8)任意の点→Y軸→X軸→Z軸回りの回転 (9)任意の点・任意の軸回りの回転
(10)任意の点でのスケーリング


更に、項目(1)〜(10)についての座標交換による計算の推移や、透視交換による計算の推移は、ディスプレイに表示させたり、プリンターに打ち出したりできるようにする。


2.シミュレーションのための理論

つぎの(1)〜(4)の項目にしたがって理論を展開する。
(1)モデルの形状定義
(2)座標交換の理論(3次元線形交換、3次元アファイン変換
(3)透視投影の理論(透視変換、投影変換)
(4)クリッピングの理論(2次元クリッピング、4ビット・コードによる領域判定、3次元クリッピング)

※ 紙面の都合上(2)を詳しく述べることにする。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。